■建機工の出荷金額は15%増の1兆2,475億円、国内11%増の4,981億円、輸出18%増の7,493億円
建設機械の世界需要が回復している。日本企業では2017年度第1四半期、海外企業では2017年第2四半期(上期)業績が発表される中、一部企業では2017年・年度の業績を上方修正する動きがみられる。米キャタピラー(CAT)がこのほど発表した7月の小売統計は全世界で12%増、アジア太平洋の建機は45%増。全地域プラスは2012年11月以来55カ月ぶり。専門調査会社も中国やインド、アセアン、欧州地域の需要が強いことを背景に、2017年の見通しを引き上げはじめた。(データは項目下のPDF参照)
日本建設機械工業会は今年2月、2017年度出荷金額は、国内8,271億円(前年同期比±0)、輸出1兆519億円(同1%増)となり3年振りに増加、合計では1兆8,790億円(前年比±0)と予測していたが、上期までの統計を見る限り、近く公表される会員アンケートベースの需要予測見直しでは上方修正することが予想される。
最近発表された2017年上期(1~6月)の国内統計(現地生産分は除く)を経済産業省の機械統計、日本建設機械工業会の出荷額統計、財務省の貿易統計を整理してみた。
<生産統計>
経済産業省機械統計によると、2017年上期の生産金額は前年同期比10.1%増の8,121億3,500万円、生産数量は同4.7%増の18万5,991台となった。
トラクタ(ホイールローダ)の生産金額は同8.8%減の420億9,400万円、数量は同5.1%増の5,561台となった。
掘削機械の生産金額は同21.9%増の5,730億8,100万円、数量は同17.9%増の8万6,600台となった。うち油圧ショベルの出荷金額は同26.5%増の4,310億7,200万円、数量は同25.0%増の3万8,693台。ミニショベルの出荷金額は同9.9%増の1,420億900万円、数量は同12.7%増の4万7,907台となった。
建設用クレーンの生産金額は同17.7%減の1,241億5,700万円、数量は同8.6%減の1万4,152台となった。
<出荷額統計>
日本建設機械工業会によると、2017年上期の出荷金額は前年同期比15.3%増の1兆2,475億2,200万円、うち国内は同10.9%増の4,981億6,800万円、輸出は同18.4%増の7,493億5,400万円となった。
出荷金額のうち、本体出荷金額は同14.2%増の1兆911億9,800万円。うち国内は同12.5%増の4,374億1,900万円、輸出は同15.3%増の6,537億7,900万円。
本体機種別によると、油圧ショベルは、同17.9%増の4,430億6,700万円。国内は同29.7%増の1,404億1,800万円、輸出は同13.1%増の3,026億4,900万円。ミニショベルは同15.1%増の1,394億6,900万円。国内は同9.3%増の375億2,500万円、輸出は同17.5%増の1,019億4,400万円。建設用クレーンは、同9.1%減の1,400億600万円。国内は同1.2%減の1,051億1,600万円、輸出は同26.8%減の348億9,000万円となった。
補給部品は同23.6%増の1,563億2,400万円、うち国内は0.3%増の607億4,900万円、輸出は同45.1%増の955億7,500万円だった。
<貿易統計>
財務省の貿易統計によると、2017年上期の建設用・鉱山用機械輸出額は前年同期比9.1%増の5,508億8,700万円。
地域別によると、アメリカ向けは前年同期横ばいの1,745億4,400万円、EU向けは同7.7%増の990億9,200万円、アジア向けは同21.1%増の1,445億1,700万円。この3地域で建設用・鉱山用機械全体の76%(2016年=77%)を占めた。アジア向けのうち、中国は同88.7%増の153億5,400万円、ASEAN向けは同16.1%増の710億400万円。
うち主力機種である油圧ショベル(新車)の金額は、同8.0%増の2,434億500万円、数量は同7.8%増の2万607台となった。主力仕向先では英国、オランダ、オーストラリア、インドネシア、ロシア、中国が金額・数量とも増加した。特にインドネシアの伸び率は、前年同期との比較では大きく、数量では3.9倍の263台、金額では9倍の97億3,900万円となった。
中古車の金額は、同4.8%増の517億1,100万円、数量は同6.8%減の1万3,160台となった。金額・数量とも増加したのは、香港、バングラデシュ、中国、インドネシア。ベトナムとフィリピン向けは減少した。
ミニショベル(新車)の金額は、同24.3%増の872億9,800万円、数量は同23.5%増の3万2,317台。主力仕向け先は、いずれも増加しており、アメリカとオランダ向けは金額、数量とも2割以上伸びた。
中古車は同4.6%増の86億2,100万円、数量は同2.6%増の1万440台となった。主力仕向け先のベトナム向け金額は同5.8%増の31億200万円、数量は4.9%増の4,095台だった。