東レ、愛媛工場内に建屋新設、高性能炭素繊維の開発設備導入

 東レは8月10日、環境配慮型製品向け素材開発強化の一環として、次世代を担う高性能炭素繊維を創出するための革新プロセス開発設備の導入を決定したと発表した。炭素繊維の国内主要研究・開発・生産工場である東レ愛媛工場(愛媛県松前町)の敷地内に新設建屋を設置し、2019年はじめから稼働を開始する計画。

 今回導入する設備を活用し開発した炭素繊維を、航空機だけでなく、自動車や圧力容器、風力・水素エネルギー関連を中心とした産業用途向けにも幅広く用途探索を進め、高付加価値製品の市場拡大に向けた展開を図る。

 軽量かつ高強度という優れた性能を持つ炭素繊維においては、機能性向上や燃費改善が求められている航空・宇宙用途のハイエンド向けを中心に、更なる高性能化へのニーズが高まってきている。また、自動車用途をはじめとした高性能かつコストパフォーマンスが求められる産業用途向けでは、地球環境問題や資源・エネルギー問題へ対応する電気自動車の需要増加や燃料電池車の拡大などにより、急速な拡大を続けています。このような背景から、炭素繊維世界市場全体として今後も年率約10%以上での伸長を見込んでいる。

 東レグループでは、炭素繊維の旺盛な需要に対応するため、日本をはじめ欧州、米州やアジアの各拠点において継続的に生産能力の増強を進め、世界No.1の炭素繊維サプライヤーとして強固な供給体制を構築してきた。

 開発設備では、T800Sの次世代グレードの創出とともに、T1100G(強度7GPa)から、更なる高強度化を図った世界最高強度糸の開発や、革新的な生産性改善技術の開発により、来るべき循環型社会・水素社会に向け、環境配慮型製品向け素材として炭素繊維の普及拡大を目指し、更なる高性能化とコストバランスの両立へ取り組んでいく。

 東レは、今年4月からスタートした新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”において、複合材料事業の重要課題として「トレカ事業の市場拡大」を掲げている。今後も商品の高度化に向けた開発体制を強化することで、旺盛な需要を取り込み、複合材料事業の更なる拡大を目指す。

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