石油資源開発(JAPEX」)は7月26日、在外連結子会社であるJAPEX Montney Ltd.(JML社)を通じてカナダのブリティッシュ・コロンビア州で検討を進めていたPacific Northwest LNGプロジェクト(PNW事業)について、7月25日(カナダ・バンクーバー現地時間)に事業会社であるPacific NorthWest LNG(PNWL社)が事業化を進めないことを決定したと発表した。
JAPEXは、LNG市場価格が高騰していた2013(平成25)年4月に、競争力のあるLNGを長期にわたり安定的に調達し、現在建設中の相馬LNG基地を通じて国内に供給するため、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のシェールガス開発・生産プロジェクト(上流事業)およびシェールガスをLNG化するPNW事業(上流事業・PNW事業の総称は以下「本プロジェクト」)へJML社を通じて参画し、PNW事業の実現に向けた取り組みを進めてきた。しかしながら、本プロジェクトへの参画を決定した時点に比べて、LNGを取り巻く環境は大きく変化しており、現時点でPNW事業を進めないことは合理性があると考え、今回の決定に至った。
相馬LNG基地は2018(平成30)年3月からの運用開始を予定しているが、昨今のLNG市況などを踏まえると、当面はLNGの調達については十分な選択肢があると判断した。
一方、上流事業については、日量約5億立方フィート(原油換算で日量約9万バレル規模)を生産している。JAPEXとJML社は、今後もあらゆる選択肢を検討しつつ上流事業価値の最大化を目指し、JAPEXの強みであるE&P事業の知見を活かした効率的な開発を引き続き実施し、豊富なシェールガス資産の活用による収益貢献実現に向けた取り組みを進めていく。
JAPEXによると、今回の方針変更は、低油価環境下において筋肉質な企業体質へ変革するための決断としている。既存計画に固執することなく、投資判断を柔軟かつ的確に行うことで、引き続きJAPEXの企業価値の向上を目指していく方針。
2018(平成30)年3月期連結業績への影響については、PNW事業の取りやめに伴う約900kmのパイプライン建設計画の解約費用約6,500万カナダドル(日本円約55億円)を特別損失に、またPNWL社に係る持分法による投資損失約3,700万カナダドル(日本円約32億円)を営業外費用に、それぞれ計上することにより、合計約1億200万カナダドル(日本円約87億円))の損失が発生する見込み。これを含む2018(平成30)年3月期の通期業績予想については精査中で、8月8日に予定する第1四半期決算公表時に併せて公表する。