川崎重工、インド企業とステンレス鋼製電車と高速鉄道車両で協力合意


     川崎重工業は6月29日、インドの重電メーカー最大手であるバーラト・ヘビー・エレクトリカルズ社(Bharat Heavy Electricals Limited:以下BHEL社)と、インド市場における車両調達案件の共同受注を視野に入れた技術協力・協業に合意したと発表した。

 BHEL社との合意内容は、①ステンレス鋼製電車に関する技術協力:BHEL社と技術協力契約を締結し、BHEL社が計画しているステンレス鋼製電車製造工場の建設に対して技術支援を行い、BHEL社へステンレス鋼製電車の技術移転を行う。
 ②高速鉄道車両に関する協業:BHEL社と協力覚書を締結し、日印政府が推進するムンバイ・アーメダバード間高速鉄道をはじめ、インドで計画されている高速鉄道向けの車両調達案件においてインド国内での車両製造を視野に入れた協業を行い、「Make in India」の推進に向けた協議を行っていく予定。

 現在、インドでは急激な経済発展に伴い、デリーやムンバイ、チェンナイなどの大都市をはじめ、人口100万人を超える規模の都市で地下鉄などの都市交通網整備が急速に進められており、インド国内の鉄道車両市場は旺盛な需要が見込まれている。また、モディ政権によるインド製造業育成計画「Make in India」の推進により、インド国内向け鉄道車両を現地生産することも求められている。
 BHEL社は、インド政府が発行株式の過半を所有するインドを代表する重電メーカーで、鉄道分野ではインド国鉄向け電気機関車や、産業用ディーゼル機関車、インド国鉄向け電車用電機品の製造実績があり、昨今のインド国内での鉄道車両市場の急伸を受け、今後は都市交通用車両や高速鉄道車両の分野にも積極的に進出する方針。

 川崎重工は、今回の合意により、川崎重工が有する世界トップレベルの鉄道車両に関する技術力と、BHEL社のインドでの生産能力を有機的に組み合わせることで、成長著しいインドの鉄道車両市場に参入し、市場のニーズに応じた車両供給体制を構築していく。川崎重工は今後も海外市場での鉄道車両ビジネスを積極的に展開していくとしている。

<BHEL社の概要>
所在地:ニューデリー
設立:1964年
代表者:アトゥル・ソブティ(Atul Sobti 、Chairman and Managing Director)
資本金(2016年度末時点):49億ルピー(約84億円)
売上高(2016年度):3,022億ルピー(約5,137億円)
事業内容:原子力・火力・水力発電設備、送電・変電設備、輸送用機器、防衛機器、産業用機器・構造物などの製造販売。鉄道関連製品ではインド国鉄向け電気機関車(交流・交直流)・試作電車・電気機器、産業用電気式ディーゼル機関車、保線用特殊車両などを製造。