プライメタルズ、鉄鋼産業用除塵システムでオーストリアのカッパ社と提携

 プライメタルズ テクノロジーズは6月26日、オーストリア・シュタイアー市のカッパ・フィルターシステムズ(Kappa Filter Systems、カッパ社)と、鉄鋼産業用除塵システムの販売、マーケティング、研究、開発に関する協業について、提携契約を締結したと発表した。提携の契約期間は、まずは5年間としている。

 両社は、カッパ社が開発した国際特許取得済みの大型ファブリックフィルタシステム「Zeron」を共同で鉄鋼産業向けに提供していく。同システムは、粉塵の一次分離から清浄後の排気用煙突に至る全ての除塵機構を、コンクリートパネル構造の堅固かつコンパクトな除塵用建屋に収める初めてのプラントとなる。これにより、乱れや渦のない最適な気流パターンが実現されて全体的なフィルタ抵抗が劇的に減少し、従来のバグフィルタシステムと比較して、運転動力の消費エネルギーが大幅に削減される。さらに粉塵排出はほぼ完全に無くなり、騒音発生は著しく減少する。

 また、コンクリートパネル構造の採用により、現地で簡単に組み立てることが可能となり、物流コストと組立時間が大幅に削減され、モジュール設計によって将来の拡張が容易になりる。

 Zeronはすでに多くの産業プラントで除塵用に採用され、成功を収めている。このプロセスは、毎時流量15万m3から130万m3の排ガス浄化が可能で、モジュール構造により、毎時数百万m3の流量であっても、容易に省スペースかつ経済的な設備導入が可能。

 プライメタルズ テクノロジーズとカッパ社は、まず電極式電気アーク炉(EAF)とミニミルの除塵システム、各種の二次除塵システムへの適用に重点的に取り組んでいく。提携契約の対象プラントには、焼結とペレットプラント、さらに除塵対象ガスの温度・組成に関する具体的条件が付与される塩基性酸素転炉(BOF)プロセスの一次除塵も含まれる。本システムの適用対象は段階的に拡大していく予定で、両社は、その他の冶金プラントへのZeron技術の応用可能性を調査することにも合意した。

 提携契約では、プライメタルズ テクノロジーズは主に販売とマーケティング、除塵システム一式の設計、配置設計、製造、納品、組立、コールドテスト、試運転を担当し、カッパ社はZeronフィルタの設計と構成、主要コンポーネントの製造と納品、組立と試運転サービスを担当する。

■両社のコメント

▽カッパ社の最高業務責任者であるクラウス・クリューガー(Klaus Kruger)は、

 「近代的かつ清潔で安全な職場環境は、各事業所の関心事になりつつあります。私たちはZeronを用いた全く新しいアプローチを採用することにより、単なる除塵プラントではなく、高品質な状態を自律的に維持し続けられる工場建屋が実現され、認識が新たにされるものと考えています。Zeronは、有能な社員を確保するために都市近郊に立地しているこの業界に対して、清潔、安全かつ魅力的な労働環境という全く新しい姿を提供します」とコメントした。

▽プライメタルズ テクノロジーズの環境ソリューション担当最高技術責任者であるアレクサンダー・フライシャンデール(Alexander Fleischanderl博士)は、

 「この協業合意によって提供できることになる鉄鋼産業向けの除塵ソリューションは、環境により優しいだけでなく消費エネルギーが格段に少なく運転の柔軟性も高いため、将来需要を考慮して更に適用対象の拡大を検討しています。革新的なZeronの技術と、プライメタルズ テクノロジーズのプラント、プロジェクト、開発などに関するノウハウを組み合わせることで、お客様に環境保護と経済効率を両立させる完全なパッケージを提供していきます」とコメントした。