東芝は6月22日、パキスタン国営送電会社向けの変電所運転訓練シミュレータを三菱商事から受注したと発表した。同シミュレータは、パキスタンのラホール市にあるパキスタン国営送電会社の研修センター内に新設される、電力送変電設備維持管理強化研修所(以下、訓練センター)に設置され、2018年11月に運用が開始される予定。
今回受注したシミュレータは、変電所監視制御設備および保護リレー装置の操作訓練シミュレータから構成されている。変電所監視制御設備の操作訓練シミュレータは、変電設備の運転操作や系統の事故発生時の対処や復旧に関わる操作手順の訓練に使用される。
また、保護リレー装置の操作訓練シミュレータは、設備や電力系統の事故発生時に、電流・電圧の変化から事故を早期に検知し、系統から事故箇所を迅速に切り離すために使われる保護リレー装置について、動作や原理の理解を深め、適切に運用するための操作訓練に使用される。
パキスタンでは、非効率な送配電系統の運用による送電ロスや停電の発生、および拡大する電力需要に対する電力供給量の不足が課題となっている。安定した電力供給を可能とするには、送配電設備の更新・新設とそれに合わせた運転員の能力向上や増員が不可欠となっているが、パキスタン国営送電会社では、変電所が計画停電などで休止している間に、休止した監視制御設備を使って教育しているため、事故発生時の対処などについて十分な訓練が行われていなかった。
同シミュレータ導入により効果的な運転員の能力向上を実現するとともに、年間延べ120人の運転員が訓練を受けられるため、熟達した運転員を増員することも可能だという。
東芝は、変電所運転訓練シミュレータを含む国内電力会社向けの電力監視・制御システム分野でトップシェアを有しており、運転員の能力向上に必要な訓練センター向けのシミュレータも数多く納入してきた。今回、東芝の豊富な実績が評価され、案件の受注に至った。