プライメタルズテクノロジーズとコンソーシアムパートナーのミドレックス社(Midrex Technologies, Inc.(*3))は6月20日、フェストアルピーネ・テキサス(voestalpine Texas LLC)向けのミドレックス(Midrex)HBI プラントで性能試験を行い、性能保証項目を 100%達成、合格したと発表した。
同プラントは年間 200万トンの HBI 生産能力を持ち、同形式の単体モジュールとしては世界最大で、北米では商業用として初号機となる。計画生産量 200万トンの約半分はオーストリアのリンツおよびドナヴィッツの同社製鉄所に供給され、残りは長期的な鉄鋼原料確保を指向するパートナー企業に販売される予定。
性能保証試験では、HBIの生産量、HBI の物理的および化学的特性、プラントの天然ガスおよび電力の消費量、(排水)水質測定、環境影響並びに排出物質などが主な測定対象だったが、初回の試験で早くも性能保証項目を 100%達成、無事に完了した。さらにプライメタルズテクノロジーズが納入した細粒リサイクルプラントも性能保証試験を無事完了した。
フェーストアルピーネ・テキサスは、メキシコ湾に面する米国テキサス州南部のサンパトリシオ郡コーパスクリスティ近郊に位置するフェストアルピーネグループの生産拠点で、フェストアルピーネ社鉄鋼事業部の完全子会社。
同プラントは、ヨーロッパの約 1/4と安価な米国の天然ガスを還元剤として利用し、ミドレックス直接還元プロセスにより鉄鉱石ペレットから高品質な HBI を生産するが、還元剤として石炭を用いる高炉と比較すると CO2 排出量が大きく削減されることから、フェストアルピーネグループにとっては、この方式採用によって、エネルギー効率改善と CO2 排出量削減による気候変動緩和という同グループの目標達成に向けた重要なステップとなった。
プライメタルズ テクノロジーズとミドレックス社は、同プラントのエンジニアリング、機械・電気設備の納入、およびアドバイザリーサービスを担当した。
MIDREX は株式会社神戸製鋼所(Kobe Steel, Ltd.)の登録商標。
*1 直接還元鉄製造プラント :Direct Reduced Iron (DRI)。天然ガス(など)を使用して鉄鉱石を直接還元(酸化鉄である鉄鉱石と反応して酸素を除去)するプラント。
*2 HBI(ホットブリケットアイアン) :Hot Briquetted Iron。再酸化を起こさないように圧縮してマクラ型に焼き固めた還元鉄。鉄鋼原料として、溶解して使用される。
*3 Midrex Technologies, Inc.:株式会社神戸製鋼所の米国子会社。