三菱重工、フランス電力(EDF)原子力発電所向け取替用蒸気発生器(SG)3基を納入

▪フランス原子力規制当局からの認証を取得
三菱重工業は5月25日、フランス電力(EDF:Electricite de France)から受注していたクルアス(Cruas)原子力発電所1号機向けの取替用蒸気発生器(SG:Steam Generator)3基を納入したと発表した。これらの取替用SG は、2017 年4月28日にフランスの原子力規制当局から原子力規制要求に対する認証を取得し、同国の厳格な規制に適合していることが証明された。

今回納入した取替用SGは、出力90万kWの加圧水型(PWR)原子力発電所向けに、2010年に受注したものです。それぞれ高さ約21m、総重量約300トンで、当社の神戸造船所にて製作した。低合金鋼製の耐圧容器(注1)の内部に、新素材であるTT690合金(注2)製の伝熱管が1基あたり4,000本以上挿入されている。PWRプラントの中核的な役割を担う最重要機器の一つで、原子炉で発生させた熱を1次冷却系(原子炉系)から2次冷却系(タービン系)に伝え、水蒸気でタービンを駆動させる。

EDFは、本社をパリに置きフランス国内で58基のPWRプラントを運転する世界最大級の発電事業者。同社は現在、設備更新計画に基づき、1980年代に稼働を開始したPWRプラントについて順次SGを取り替えている。

三菱重工は、EDF向けに2005年から累計15基の取替用SGを受注・納入している。。また、世界の主要な原子力市場において原子力用機器の販売拡大に取り組んできており、取替用SGでは、フランス、ベルギー、米国などに累計31基を納入した実績がある。

三菱重工は、EDFがSG発注先を選定する国際入札において、フランス原子力市場で提携関係にあるCOMEX NUCLEAIRE社(CxN)(注3)と共同で受注した。

今回、フランスの原子力規制要求が厳格化する中で、無事に規制に適合した取替用SGを納入できたことで、三菱重工の技術力、品質、信頼性、フランスの規格・規制に対する適応能力が高く評価されたことが証明された。

三菱重工は、PWRプラントのリーディングカンパニーとして、国内に加えフランスほか海外の原子力市場を重視し、積極的な営業活動を通じて世界の原子力の安全・安心に貢献していく。

(注1)低合金鋼は添加されている合金元素の量が5%以下のもので、SGは強靭な低合金鋼(マンガン・モリブデン・ニッケル鋼)を用いた耐圧容器として製造されている。
(注2)特殊熱処理により耐腐食性を高めた最新のニッケル・クロム・鉄合金で、高温・高圧下での耐腐食性に優れたSG伝熱管の材料となる。
(注3)CxNは、ONET TECHNOLOGIES社の子会社で、本社をマルセイユに構え、原子力施設に対する専門的なアフターサービスとメンテナンスを手掛けており、当社とは2002年から協業している。