大同特殊鋼、知多工場に戦略的省エネルギー投資を実施、40億円投資

■製鋼プロセスのエネルギー効率を向上に向け

大同特殊鋼は5月22日、知多工場(愛知県東海市)製鋼プロセスのエネルギー効率を向上させるため、約40億円を投じて合理化を実施すると発表した。

同社は、中長期省エネルギー目標として「2030年までに10%以上削減(2013年度BAU(*1)比)」を策定し、この目標達成に向け継続的に取り組む方針。
知多工場では上記に向けた施策の第一弾である150トン最新鋭電気炉をはじめとする製鋼革新合理化(2013年完工)を実行し、自動車用機能構造用鋼の製鋼プロセスについて大幅な生産性向上ならびにエネルギー効率向上を達成した。

今回、第二弾として特殊ステンレス鋼などを製造する製鋼プロセスにおいても、溶鋼物流の整流化や、高効率な加熱装置により鋳造時の温度コントロール性向上を図る等の施策を実施することでエネルギー効率のさらなる向上を図る計画。

知多工場(1962年操業開始)は同社の粗鋼の90%を生産する主力工場で、粗鋼生産能力180万トン/年の規模は特殊鋼一貫製鋼所としては世界でも最大級。近年、自動車の燃費の向上を図るべく内燃機関の燃料噴射圧力の高圧化や燃焼温度の高温化が進み、特殊ステンレス鋼の適用拡大が期待されている。今回の投資により、省エネルギーに加え、生産能力の拡大も図り、自動車の環境技術革新に貢献していくとしている。
*1 BAU・・・Business as Usualの略。「何も対策をしなかった場合」を意味する。

<設備投資の概要>
(1)投資内容:製鋼工場内物流設備刷新、連続鋳造機タンディッシュ予熱、加熱装置の更新など
(2)総投資額:約40億円
(3)稼働開始:2019年初頭予定

1.コンセプト
(1)製鋼工場内の物流設備の刷新:溶鋼搬送時間短縮とエネルギーロス低減
(2)連続鋳造機のタンディッシュ予熱、加熱装置の更新、エネルギー転換:特殊ステンレス鋼の連続鋳造比率向上とエネルギー効率の向上

上記により従来インゴットで製造されていた特殊ステンレス鋼を連続鋳造で製造することができ、消費エネルギーの大幅な低減および生産能力の拡大など更に安定した量産プロセスを実現する。