DIC、プリンター用インキなどに用いられる中空糸膜モジュールの生産工場を新設

■インクジェット印刷市場の需要拡大に備える

DIC(本社:東京都中央区)は5月18日、液体の脱気・給気をコントロールする中空糸膜モジュール「SEPAREL(R)」シリーズにおいて、産業用インクジェット(以下、IJ)プリンター用インキの脱気などに用いられる小型モジュールの生産能力強化を目的に、1月に千葉工場敷地内に新工場を建設したと発表した。新工場は、中空糸製造ラインに続いてスダレ編み機を導入し、試運転を経て、2017 年中の本格稼動開始を目指す。投資額は、建屋を含め約 85億円で、生産能力は約1.5倍になる。

ポスターや看板、写真などの印刷に利用される産業用 IJ 印刷機には、インキ中の気泡を除去するための脱気モジュールが組み込まれている。IJ 印刷では、インキ中の気泡による被膜欠陥が製品不良の原因となるため、特に高精細が求められる用途では、インキからの脱気は不可欠な機能となっている。

同社では 1989 年から中空糸膜事業に参入しており、直径 200~250μmの中空糸表面に約 1μmのスキン層と呼ばれる高密度層を生成させることで優れた密閉性を実現している。この機能による脱気時の負荷低減が高く評価され、IJ プリンター向け脱気モジュール市場では 70%という高いグローバルシェアを有している。

産業用 IJ 市場は、昨今の小ロット化やオンデマンド化の進展により、毎年 8%程度市場が拡大している。今回の投資は、拡大する市場において、優れた性能を示す同社製品を求める顧客の声に応えるとともに、業界トップの地位をより強固にするためのもの。

同社では、今回の生産能力増強により、IJ プリンター用途での高シェアを維持・拡大させていくことに加えて、2015 年に本格参入した超純水製造設備用の大型脱気モジュール市場での拡販などにより、中空糸膜モジュール事業における売上高を、2020 年には、2016 年比で倍増となる70億円を目指していくとしている。