川崎重工、米国で初となる航空機用部品の製造ラインが完成

川崎重工は5月19日、米国の現地法人 Kawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.(以下、KMM)のリンカーン工場において、ボーイング社の最新鋭民間旅客機であるボーイング777X用貨物扉の製造ラインが完成し、本日(米国時間2017年5月18日)、開所式を行ったと発表した。今月から試験製造に着手し、今秋より本格的に製造を開始する。

リンカーン工場は、Kawasaki Motors Corp., U.S.A.の製造部門として、1974年にモーターサイクルの生産を開始し、1981年にKMMとして独立した。現在は、パーソナルウォータークラフト「ジェットスキー(※1)」や鉄道車両など、多数の製品を生産している。

今回完成した製造ラインは、リンカーン工場にある既設建屋内の約2,800m2のエリアに2015年12月から整備を進めていたもので、同社として初めて米国に設置した航空機用部品製造ライン。製造ラインは、繊細かつ正確な塗装が可能な自社製塗装ロボットや、打鋲の対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)など、最新鋭の設備を導入して自動化を推進することで、高品質かつ高効率な生産を行う。また、同社が長年の量産品事業で培ってきた生産システム(KPS(※2))を、航空機用部品の製造においても積極的に適用している。

さらに今後は、名古屋第一工場敷地内に新設したボーイング777Xの前部胴体や中部胴体の製造を担う新工場と同様に、将来のスマートファクトリー化に向けて、ICT/IoTなどのインフラ整備を計画している。いく

世界の民間航空機市場は、今後も堅調な需要拡大が予想されている。同社は今回のボーイング777X用貨物扉の製造を契機として、リンカーン工場を米国における航空機用部品の主要製造拠点と位置付け、民間航空機事業およびKMMの発展・拡大に向けて積極的に取り組んでいく。

□Kawasaki Motors Manufacturing Corp., U.S.A.の概要

(1)設立:1981年12月21日

(2)所在地:米国 ネブラスカ州 リンカーン市

(3)資本金:170,000千米ドル(川崎重工100%出資)

(4)事業内容:航空機用部品、四輪バギー車、レクリエーショナル・ユーティリティ・ビークル、多用途四輪車、パーソナルウォータークラフト「ジェットスキー」、汎用ガソリンエンジン(※3)、鉄道車両の製造

※1 「ジェットスキー」は川崎重工の登録商標です。

※2 KPS(カワサキ・プロダクション・システム)

Just In Timeシステムをベースに当社の各生産ラインにおける適用を通じて開発・実証された同社独自の合理的な生産管理技法で、量産・個別生産を問わずあらゆる生産ラインに展開が可能なシステム。

※3 メアリービル工場(ミズーリ州)で製造している。