神戸製鋼所は、韓国において、Novelis Inc. (以下Novelis)の100%子会社であるNovelis Korea LTD.(以下Novelis Korea)と、アルミ板圧延品を製造する合弁会社を設立することに合意、合弁契約を締結したと発表した。
今後、Novelis Korea が、韓国ウルサン市に保有するウルサン工場を現物出資し、新会社を設立、神戸製鋼所が新会社の株式50%を315百万ドル(約350億円)でNovelis Koreaより取得することで、合弁事業化する。
新会社は生産機能のみを有し、販売は各親会社が独立して行う。神戸製鋼所は、新会社で製造した母材(冷間圧延品)を、日本の真岡製造所(栃木県真岡市)および神鋼汽車●材(天津)有限公司(中国天津市)へ供給する予定。●は金へんに呂
世界的な環境規制の強化を背景に各自動車メーカーが車体軽量化の動きを加速させており、自動車用アルミパネル材(以下、アルミパネル材)は、今後大きな需要の拡大が見込まれる。神戸製鋼所は、中国におけるアルミパネル材の需要拡大を見据え、昨年1月に中国でアルミパネル材専用の製造拠点となる神鋼汽車●材(天津)有限公司を稼働させた。
また、国内においても、アルミパネル材の需要拡大に加え、缶材等のコア事業についても堅調な需要が見込まれている。今後アジアで大きく伸長するアルミ材需要に対応するため、神戸製鋼所はこれまで安定的な母材供給能力の確保について検討を進めてきた。
一方、Novelisは、グローバルに展開する世界最大手のアルミ板圧延企業です。今回の合弁事業の対象となるウルサン工場は、Novelisのアジアにおける主要生産拠点のひとつですが、稼動率向上や固定費圧縮等によるコスト競争力強化を課題としていた。アジアでの安定的な供給能力確保を課題としていた神戸製鋼所と、ウルサン工場の効率的運営による競争力強化を検討していたNovelisのニーズが合致したことから、今回、合弁契約を締結することとなった。
神戸製鋼所は、2016~2020年度中期経営計画において、「輸送機軽量化への取組み」を成長戦略の柱の一つとして位置付けている。アルミ・銅事業部門は、昨年4月に米国で自動車向けアルミ押出・加工品の製造・販売会社Kobelco Aluminum Products & Extrusions Inc.を設立し、今年4月には米国の自動車サスペンション用アルミ鍛造部品製造・販売会社Kobe Aluminum Automotive Products, LLCの生産設備増強を決定した。今回の投資もこの成長戦略に沿ったもので、飲料缶やディスク材他の既存コア事業の継続強化に加え、アジアで伸長するアルミパネル材の需要を確実に取り込むことで、アルミ板事業の強化を図っていく。
<合弁会社の概要>
社名:Ulsan Aluminum Ltd.
代表者:未定
設立:2017年9月末(予定)
事業内容:アルミ板圧延品の製造
所在地:韓国 蔚山市(ウルサン市)
資本金:未定出資比率:神戸製鋼所50%、Novelis Korea 50%
生産能力:年間約30万トン※1主要設備:溶解・鋳造ライン、熱間圧延ライン、冷間圧延機他
従業員数:600名程度
<Novelisの概要>
社名:Novelis Inc.
代表者:プレジデント兼CEO Steve Fisher
設立:2005年
所在地:米国ジョージア州アトランタ
大株主及び持分比率:Hindalco Industries Ltd. 100%
連結売上高:100億ドル(2016年3月期)
従業員数:約12,000名
主要事業:アルミ圧延品の製造・販売
<Novelis Koreaの概要>
社名:Novelis Korea Ltd.
代表者:プレジデント Sachin Satpute
設立:2005年
所在地:韓国ソウル特別市
大株主及び持分比率:Novelis Inc. 100%
売上高:1,753,200百万ウォン(2016年12月期)
従業員数:1,640名
主要事業:アルミ圧延品の製造・販売