■二大都市の電力供給安定化に貢献
国際協力機構(JICA)は4月25日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピドーにて、同国政府との間で、「水力発電所改修事業」を対象として107億8,700万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。
本事業は、ミャンマーの二大都市ヤンゴン、マンダレーへ電力供給を行うバルーチャン第一水力発電所及びセダウジ水力発電所において、発電機等の改修により計画外発電停止時間を減少させ、電力供給の安定化を図ることを目的としている。本件にかかる貸付資金は、発電機、水車、制御盤、水門等の調達及び設置工事、並びにコンサルティング・サービス(入札補助、施工監理等)に充当される。
ミャンマーでは、国内向けの総発電設備出力は4,651メガワット(2015年11月時点)ですが、発電設備の老朽化や乾季の水量不足などにより、平均供給力は約1,823メガワット(2015年度)にとどまっている。最大電力需要が2030年までに約14,500メガワットに達するとの予測もある中、電力供給力増強のためには、発電所の新設とともに、既存発電所の改修が急務となっている。
本事業で対象とする両発電所は、豊富な水源を有する河川に位置しているため、乾季の水量不足等により稼働率が低下する発電所が多いミャンマーにおいては、年間を通して一定量の電力を安定的に供給する、ベース電源としての機能が求められている。しかしながら、国内でも特に古くから稼働している発電所であるため老朽化が激しく、発火や漏水による機器の故障等が頻発し、計画外の発電停止を余儀なくされている。
本事業により発電機等の改修を行うことで、現在は年間40時間(バルーチャン第一水力発電所)、275時間(セダウジ水力発電所)に上る計画外の発電停止が無くなり、発電量が約1.2倍になり、約37.6万人分の年間消費量に相当する電力を新たに供給することが期待される。