宇部興産は4月20日、伊佐セメント工場(山口県美祢市)に排熱発電設備(発電能力1万4,000kW)を設置すると発表した。投資額は約70億円。稼動は2020年1月の予定。
宇部興産の排熱発電設備設置は、2015年12月稼動の苅田セメント工場に次いで2例目。(宇部セメント工場:山口県宇部市は、自家発電所から電力供給を受けている)
排熱発電とは、セメント製造工程において排出される熱を利用した発電方式。セメントの主要原料であるクリンカーは、石灰石などの原料を1,450℃の回転する窯(ロータリーキルン)に投入し、焼成することで製造する。同設備では、キルンに投入する前の原料を予熱するためのプレヒーターと、できあがったクリンカーを急冷するためのクリンカークーラーの排熱を利用して発電する。
宇部興産では効率の良い排熱発電を伊佐セメント工場に導入することで、発電に伴う化石燃料の使用を抑え、年間5万tのCO2を削減する見込み。
また、同設備からの電力は、伊佐セメント工場内だけでなくUBEグループの他の工場へ送電(自己託送)し活用することで、グループ全体での電力コスト削減にも大きく寄与する。
宇部興産のセメント事業は国内3工場体制で運営している。同設備の稼動後、3工場における排熱発電による電力構成比率は業界トップレベルとなる。
<伊佐セメント工場の概要>
所在地:山口県美祢市伊佐町伊佐4768
操業開始:1948年
従業員数:232人
工場敷地面積:40万m2
クリンカー生産能力:400万t
*画像:伊佐セメント工場全景