プライメタルズ、アラブ首長国連邦のユニオン鋼鉄から棒鋼圧延機用ビレット溶接システムを受注

プライメタルズテクノロジーズは4月18日(ロンドン)、アラブ首長国連邦の鉄鋼メーカーであるユニオン鋼鉄(Union Iron & Steel Company LLC:UIS)から、アブダビのムサッファ工業地区にある同社工場向けに、既存の棒鋼圧延機用設備としてエンドレス圧延用ビレット溶接システム(ERT-EBROS)を受注したと発表した。

今回の設備投資は工場の生産量と稼働率の大幅改善を目的とし、同システムによる圧延材ビレットの溶接により、高品質製品の一貫連続圧延プロセスを可能とするもの。中東で初めて導入される同溶接システムは、2017 年後半に稼働開始予定で、2年以内に投資回収される計画。

UIS は、鉄筋用棒鋼を主に生産するアラブ首長国連邦の有力鉄鋼メーカー。同社の棒鋼圧延機は2004 年にプライメタルズテクノロジーズ(旧VAI Pomini)が納入したもので、断面130 mm 角と150 mm 角のビレットを圧延加工し、直径8~40 mm の低炭素鋼および低合金鋼の鉄筋棒鋼を年間32 万トン生産する能力を有している。

今回受注したビレット溶接システムは設計上42万トンの年産能力があるが、ビレット加熱炉と圧延スタンドとの間に設置され、棒鋼圧延機の加工原料となるビレットを、急速集中加熱によるフラッシュ溶接で連続溶接し、棒鋼圧延のエンドレス化を実現する。同システムでは、固体状態でのビレット同志の結合が可能であることから溶材を使用する必要が無く、全てのプロセスパラメータをリアルタイムで制御するダイナミックフラッシュ制御システムによって高い接合品質を実現しており、エネルギー消費を減らしながら材料歩留を向上させることが可能。これまでのビレット単体の圧延加工と比較して、加工時間および生産能率が大きく改善するとともに、冷却床の使用効率も向上して運用自由度も増えることから、コイル重量のカスタマイズも可能となる。

同システムには各種の付属装置が搭載されており、溶接終了に伴い溶接ヘッドが上昇した後、接合部のバリがセルフクリーニング式バリ除去設備(デバリングステーション)で除去される。このバリ除去設備は溶接ユニットとは独立して稼働するため、サイクルタイムには影響しない。さらに、プロセス品質を維持するために搭載されるアクティブスパッタ保護機能は、機械や電気装置を溶接スパッタから保護して部品寿命を延長し、円滑なメンテナンスを実現する。

電気システムとしては、コンパクトかつ信頼性が極めて高い一体型高周波変圧器をコア機器として採用しており、メンテナンスフリーで溶接をエンドレスに継続することが可能。安定して持続可能なプロセスフローには電圧の安定化と制御時間の短縮が不可欠であることから、サイリスタ回路の10 分の1の時間で電流制御を行い矩形波電圧を生成するコンバータと、高周波の矩形波電圧を安定的に一定のDC 電圧に変換する半導体とが各変圧器に実装されている。

プライメタルズテクノロジーズは今回のプロジェクトにおいて、バリ除去設備、払出システム、ピンチロールとローラーテーブルなどの付属設備を含むビレット溶接システム(ERT-EBROS)一式、さらに流体システム、電気機器およびオートメーションシステム、溶接制御用の技術パッケージを供給し、プロジェクトのエンジニアリング、新設機器の組立および試運転も担当する。

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