日立造船、ラオス国向け水門・鉄管工事を受注し仮締切工法を実施

Hitz日立造船は4月13日、 ㈱安藤・間(安藤ハザマ)より、ラオス国「ナムグム第一水力発電所拡張事業」における水門・鉄管工事を受注した。同工事で適用する仮締め切り工法は、日本企業にとって海外でのダム再開発工事向けは初めての実施となる。

同事業は、首都ビエンチャンの北方約65kmに位置する既設のナムグム第一水力発電所において、発電ユニットを1基増設することにより、ビエンチャン首都圏のピーク電力需要への対応能力の強化を図るもの。日本国政府ODA(政府開発援助)の有償資金協力で実施するもので、安藤ハザマが全体施工を行い、日立造船は安藤ハザマより同工事で設置される仮締切設備、水門・鉄管の製作および現地での据付工事を請負う。

同事業では既設ダムの堤体に穿孔(せんこう)を行う施工方法を採用する予定で、鋼製の仮締切設備を設置することにより既設ダムの運転を止めずに工事を行うことができる。同技術は、既設ダムを利用した拡張であるため、事業実施による貯水池および下流等への環境・社会的な影響がほとんどないことも大きな利点であり、日本企業が海外で実施する初の工法となる。

<概 要>
1.発注者:株式会社安藤・間(東京都港区、野村俊明社長)
2.最終需要家:ラオス電力公社(Electricite du Laos)
3.建設場所:ラオス国ビエンチャン県
4.設備:
(1)仮締め切り工(バルクヘッドタイプ)
(2)スクリーン
(3)取水ゲート(4.5m(幅)×5.5m(高さ))1門
(4)修理用ゲート(4.5m(幅)×5.5m(高さ))1門
(5)水圧鉄管(直径=5.5m-4.5m、長さ=42.5m)1条
5.納期:2020年4月

■ナムグム第一水力発電所について
ナムグム第一水力発電所は、日本国が1960年代から無償資金協力、円借款を通じて建設を支援してきた。猪苗代湖の約2倍の貯水量を誇る、70億立方メートルという巨大な貯水池を有する同発電所は、1年を通して流入量が安定しているため、乾季における首都のピーク需要に応じた電源として活用することが期待されている。既設ダムは、間組(現 安藤ハザマ)が1971年12月に竣工している。

■日立造船の水門・鉄管事業について
日立造船は、1900年に水門・鉄管事業を開始して以来、国内外の水門や可動堰の他、鉄管をはじめとする水力関連設備を数多く納めてきた。近年、新規ダム建設が縮小される中、既設ダムの機能向上の観点から、放流設備や取水設備を増設するケースが増えてきている。仮締切設備はダム水位を低下させずに、貯水池の水面以下に放流設備や取水設備を構築できるため、ダム再開発事業には欠かせない設備。日立造船は2015年に鹿児島県薩摩郡の鶴田ダム向けに施工するなど、仮締切設備でも多くの実績を有しており、今後計画される国内外の既存ダムの有効活用に積極的に取組んでいく。

以上

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