■配電網整備用機材の整備を通じ、バンサモロ地域における電力供給の安定化に貢献
国際協力機構(JICA)は3月30日、フィリピンの首都マニラで同国政府との間で、「バンサモロ地域配電網機材整備計画」を対象として7億7,100万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結したと発表した。。
本事業は、ミンダナオ島中西部に位置するバンサモロ地域内(注)の配電事業者である6つの電力協同組合に対し、配電網整備用機材を調達するもの。
ミンダナオ島の中西部は、40年以上に及ぶ紛争の影響もあり、フィリピン国内で貧困率が最も高い地域。同地域における平和定着及び復興開発の促進のため、民間企業の投資を促進し、地域経済を活性化させる必要があるすが、基幹インフラの不足が阻害要因となっている。電力についても、電柱や電源などの配電設備の多くが1970年代から80年代に整備されたものであり、内戦の影響により維持管理が適切に行われず、深刻な老朽化が進んでいる。その結果、配電設備の不具合等に起因する停電リスク及び配電ロス率の高さが問題となっている。
本事業により配電網の整備を行うことで、可能送電電力が約1.4倍になるほか、配電ロス率や停電時間の低減などが見込まれている。電力供給の安定化により、産業発展に資するのみならず、紛争が終結することにより得られる社会サービス向上という「平和の配当」を地域住民が実感することで、紛争再発予防の環境が整備されることが期待される。
JICAは、本事業に加え、行政機関の人材育成や地場産業振興を支援する技術協力やインフラ整備を行う資金協力等を組み合わせて実施し、ミンダナオにおける平和と開発を包括的に支援する。
(注)将来の設立が予定されているバンサモロ自治政府に含まれることが見込まれている地域。
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