東レは3月29日、衛生材料向けの素材開発を強化するため、日本国内においてスパンボンド(長繊維不織布)の開発設備を導入することを決定したと発表した。東レ滋賀事業場(滋賀県大津市)の敷地内に独自の開発設備を設置し、2017年11月から稼働を開始する計画。
東レは、今回導入する開発設備を活用して、紙おむつをはじめとする衛生材料用スパンボンドの特品開発と設備生産性の向上にグループ横断で取り組み、高付加価値市場に向けた展開拡大を図る。
紙おむつ市場は、アジアにおける人口増加や生活様式の高度化を背景として、急速に拡大を続けている。主要素材であるポリプロピレン(PP)スパンボンドの需要は、新興国での乳・幼児用に加え、先進国での高齢者用の需要増も見込まれることから、今後も年率約8%で伸長すると予測されている。
また近年、最大の消費地である中国を中心に、消費者の安全志向と高級志向の強まりから高品質・高付加価値品へのニーズが高まっており、その素材に対しても一段の高度化が求められている。
東レグループでは、PPスパンボンドの旺盛な需要に対応するため、韓国、中国、インドネシアの各拠点において継続的に生産能力の増強を進め、アジアにおけるPPスパンボンドの主要サプライヤーとして強固な供給体制を構築してきた。
今回、新たに国内で開発設備を導入することにより、日本および海外の重要顧客との連携を一層強化し、性能・コストの両面でお客様の要求に応える高付加価値素材の開発を加速していく。
東レは、今年4月からスタートする新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”において、繊維事業の重要課題として「不織布事業の拡大」を掲げている。PPスパンボンドのグローバル供給体制の拡充と、商品の高度化に向けた開発体制を強化することで、旺盛な需要を取り込み、不織布事業のさらなる拡大を目指す。
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