■バングラデシュの安定的な電力供給に寄与
国際協力機構(JICA)は3月29日、シンガポール法人Sembcorp Utilities Pte Ltd.及びバングラデシュ北西部発電会社(North-West Power Generation Company Ltd.)が出資してバングラデシュに設立する特別目的会社Sembcorp North-West Power Company Ltd.(以下「SNWPC」)が行う事業を対象として、プロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。世界銀行グループの一機関である国際金融公社(IFC:International Finance Corporation)、英国開発金融機関のCDC Group plc、シンガポールのClifford Capital Pte. Ltd.との協調融資。
本事業は、SNWPCがバングラデシュ北西部のシラジガンジ県において、出力規模約400メガワットのコンバインドサイクルガス火力発電所(※1)を建設・運営し、22年に亘りバングラデシュ電力開発庁(Bangladesh Power Development Board)に対して売電することにより、バングラデシュでの安定的な電力供給を図り、電力不足の緩和及び持続的な経済発展に寄与するもの。JICAはSNWPCが本事業を行う上で必要な資金を融資する。
バングラデシュでは、近年の堅調な経済成長に伴い、電力需要が急増している。ピーク時の電力需要が10,283メガワット(※2)である一方で、最大供給実績は7,817メガワット(※3)に留まっており、恒常的に計画停電が実施されるなど、電力供給能力が追い付いていない状況。また、発電エネルギー源の約62%(※4)を占める天然ガスに関して、今後の国内産ガスの供給量減少を見据え、高効率設備の導入を通じた発電効率の向上が急務となっている。このような状況の下、本事業は熱効率に優れた天然ガス焚きの高効率の約400メガワットのコンバインドサイクル発電所を建設・運営することにより、バングラデシュにおける安定的な電力供給に寄与するもの。
また、本事業はJICA海外投融資とIFCとの協調融資によるドル建てプロジェクトファイナンス案件であり、2015年にJICAが途上国における民間セクター向け融資業務の円滑な協働を行うためにIFCと締結した基本協力協定(Master Cooperation Agreement)に基づく、初の協調融資案件。JICAは今後もバングラデシュにおけるエネルギー分野への支援を継続していくと同時に、IFCを始めとする国際金融機関との連携を積極的に活用し、開発途上国・地域の経済社会開発に資する案件の組成を進めていく。
(※1)ガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせた発電方式
(※2~4) 出典:バングラデシュ電力開発庁(2014/2015年)