日立造船、コンポガス事業で米国市場へ初参入

日立造船は3月24日、100%子会社でごみ焼却発電プラント(以下EfWプラント)建設事業を営むHitachi Zosen Inova AG(スイス、以下HZI)と共同で、米国市場のコンポガス事業に初参入すると発表した。コンポガス事業で米国市場に進出すること、および米国で廃棄物処理プラントの運営事業者となることは日立造船グループにとって初めての取り組み。

日立造船グループが中心となる特別目的会社が、カリフォルニア州のサン・ルイス・オビスポ郡(以下SLO)にコンポガスプラントを建設し、建設後は20年間にわたり、廃棄物処理に加え、電力と堆肥を販売する運営事業を行う。
HZIは、2014年にAxpo Kompogas Engineering AG(スイス、以下Komeng)からコンポガス事業を買収した。今回、米国でコンポガス事業を推進するため、日立造船グループの出資で設立する特別目的会社Kompogas SLO LLC(米国、以下SPC)が事業者となり、コンポガスプラントの建設・運営事業を行う。
同プラントでは、SLOの食品ごみ等の処理サービスに加え、処理過程で生成したバイオガスを燃料としたガスエンジンによる発電と、処理後残渣を堆肥として販売することにより投資回収を図る計画。

同プラントでは、HZIのコンポガス技術「KompogasR」により、年間30,000トンの植物ごみやSLOの分別収集食品ごみをメタン発酵させ、年間2,907,000Nm2のバイオガスを発生させる。同時に、バイオガスを使いガスタービンで発電した電力は地元電力会社に売電する。年間6,207,000kWの発電出力を備える本プラントは、約600世帯に電力を供給することが可能。また、発酵後の残渣は堆肥として販売する予定。なお、同プラントは日立造船グループ会社が20年間運転管理を行う。

■HZIのコンポガス技術「KompogasR」:
乾式メタン発酵の代表的な手法の1つ。生ごみなど有機性廃棄物を嫌気性状態で、約55℃の温度に保ち、微生物の働きによりバイオガスを発生させる。処理済み残渣は堆肥として農業や園芸飼料に利用される。なお、HZIの「KompogasR」は世界30カ国以上の国々で商標登録されており、スイス、ドイツなどを中心に欧州各国で82プラントの受注および建設実績がある。

■HZIのコンポガス事業の取組み:
これまでHZIの事業は、EfWプラントの建設とメンテナンス事業が大部分を占めており、業容の拡大を図るために2014年にKomengのコンポガス事業を買収した。買収により、「ごみ処理」分野の事業領域が拡大し、EfWプラント案件にコンポガスプラントを複合させた提案が可能となった。
HZIは先日、スカンディナビア地域にて初のコンポガスプラントのEPC業務も受注しており、EfWプラントとコンポガスプラントの両EPC事業のシナジー効果を発揮させ、事業規模を拡大させていく考え。

<事業の概要>
1.事業者(SPC):Kompogas SLO LLC
2.事業内容:コンポガスプラントの建設・運営
3.総事業費:約22百万米ドル
4.建設地:米国 カリフォルニア州 サン・ルイス・オビスポ郡
5.建設期間:2016年12月~2018年6月
6.EPC事業者:Hitachi Zosen Inova U.S.A. LLC
7.運営期間:2018年7月から20年間

<コンポガスプラントの主仕様>
1.廃棄物処理量:30,000トン/年 (植物ごみ、食品残渣)
2.ガス生成量:2,907,000N?/年
3.発電出力:730kW
4.残渣量 :20,000トン/年 (固形堆肥、液肥)

以上

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