静岡市のアイエイアイ、市内に新工場 投資額80億円
2017/3/2 7:01 [有料会員限定]
地域ニュース
小型産業用ロボットのアイエイアイ(静岡市)は2020年初頭をメドに新工場を稼働させる。1日、静岡市内に新たな工場用地と建物を取得した。新工場では300人を新たに雇い、生産能力は現在の約2倍となる。総投資額は80億円。14年稼働の富士宮工場に続く大型投資で、人手不足に対応するためのファクトリーオートメーション(FA)需要の取り込みを急ぐ構えだ。
今回取得したのは本社に近い静岡市清水区庵原地区の土地11万5800平方メートルと建物1万2000平方メートル。土地部分に新たに工場を建設し、既存の製品に加えて開発中の新製品の製造ラインもつくる予定だ。
新工場稼働に伴い、販売額ベースでみた生産能力を倍増となる600億円程度まで増強できる。新規雇用も300人を見込んでおり、雇用の受け皿としての期待も高まりそうだ。
同社の主力商品は電動のアクチュエーター(駆動装置)で、国内では56%(台数ベース)のシェアを持つトップメーカーだ。最大の特長は省エネ性能。同社の製品は空気圧を使う同様の他社製品に比べて装置自体の価格は高いが、「消費電力は5分の1」(石田徹社長)という。
特に省エネ性能に関心が高い自動車業界やエレクトロニクス関連からの需要が増加している。14年には富士宮工場が稼働したが、すでにフル生産の状況にあり、県内で新工場の候補地を探していた。
人手不足を背景に、国内の製造業は工場の自動化を急いでいる。自動車関連以外でも、総菜などの食品産業で盛りつけなどロボットの需要が高まってきている。
今年から人工知能(AI)を使った制御システムの開発にも着手する。海外販売でも、中国の北京に営業所を開設し、上海、深圳に続く3拠点体制で強化を図る。
同社は13年12月期から2期連続で2割を超える増収を記録。16年12月期の売上高は247億円、経常利益は39億円となった。
新工場の稼働により、21年12月期に売上高を500億円まで伸ばす計画で、従来の400億円から上方修正した。