■オルカリアV建設プロジェクトで
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は2月28日、ケニアのケニア発電公社(KenGen:Kenya Electricity Generating Company Limited)向けに、出力7万KW級の蒸気タービンおよび発電機などを含む発電設備2系列を三菱商事および現地企業であるH. Young & Company (East Africa) Ltd. との3社コンソーシアムによりフルターンキー契約で受注したと発表した。同国中部のナクル郡に建設されるオルカリアV(Olkaria V)地熱発電所に納入するもので、運転開始は2019年の予定。
オルカリアV地熱発電所の建設地は、首都ナイロビの北西約100km、標高約2,000mの大地溝帯に位置している。今回のプロジェクトは、オルカリア地熱地帯への地熱発電所増設で都市エリアにおける電力需給の逼迫を緩和するとともに、再生可能エネルギー由来の電力供給を増強することにより、気候変動に対する影響の緩和を目指すもの。KenGenは、独立行政法人国際協力機構(JICA)による円借款(政府開発援助)を受けて、この事業を進めている。
MHPSは、地熱発電設備の設計を担当するとともに、蒸気タービン、発電機、復水器、および主要付属設備一式を供給。併せて、長年のEPC(設計・調達・建設)コントラクターとしての知見を活かし、技術者を派遣して据付・試運転の指導に当たる。
ケニアは世界第9位の地熱発電能力保有国。同国は近年の順調な経済成長を背景に電力需要が増加しており、KenGen では地熱発電所の新設および出力増強に力を注いでいる。MHPSはこれまで、同国の地熱発電所向けではオルカリアI、IIの2カ所に6系列合計で15万KWに達する設備を納入した実績を有している。今回の受注は、これらの優れた稼働実績、技術力、およびEPC遂行能力が高く評価されたことによるもの。
MHPSは、火力発電および地熱発電システム分野においてトータルソリューションを提供できる企業。そのうち地熱発電分野では、これまで世界13カ国から100件を超える受注実績を持っている。その総設備容量は300万KW超に達しており、世界の地熱発電設備容量実績でトップクラスのシェアを確保している。昨年8月にナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)の際に行われた会合では、社長の西澤隆人(現副会長)が先進的な環境技術と高効率の発電設備でアフリカの発展に貢献していく決意を表明した。
MHPSは今後も、ケニアを含めアフリカでの地熱開発ニーズの高まりにも、引き続き日本政府が進める質の高いインフラ輸出政策のための各種制度を活用し、関連機関とも協調して対応するとともに、アフリカのみならず、世界市場で地熱発電機器・設備の提案を積極的に行い、地球温暖化防止に貢献していくとしている。