旭化成は主に太陽光パネルやリチウムイオン電池向けに使われる高機能樹脂を中国で生産する方針。中国国有化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)と折半出資でプラントを建設、車載用電池などの需要増に対応する。総事業費は300億円規模の見込み。中国大手と組むことで、事業のリスク分散と中国国内での顧客開拓の両立を狙う。
工場の建設場所や稼働時期などは両社で今後詰める。生産するのは「変性ポリフェニレンエーテル樹脂」と呼ばれる高機能樹脂。絶縁性が高い電気特性を持つ。耐衝撃性や耐熱性にも優れる。太陽光パネルやリチウムイオン電池の配線回りや、自動車部品、複合機でも使われる。 旭化成の同樹脂の世界シェアは石油化学大手のサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)に次ぐ世界2位とみられる。
旭化成は現在はシンガポールで年間約6万トンを生産する。中国のプラント能力はシンガポールの7~8割程度で設計する方向。 シンガポールのほか、千葉県にも生産拠点を構えていたが、世界で供給量が増えすぎたため、2011年にプラントを停止させていた。14年にSABICが欧州のプラントを停止させ、需給が逼迫したため、新たに合弁生産に踏み切る。 調査会社富士経済(東京・中央)によると、変性ポリフェニレンエーテル樹脂の世界市場規模は千億円程度。今後年率2%程度の成長を予測する。