日産自動車、ミャンマーに自動車工場

日産自動車とタンチョンモーター(ミャンマー)社は1月18日、ミャンマーで自動車生産を開始したと発表した。生産車両は日産を代表するセダンの「サニー」。当初は、タンチョンモーターの既存施設を使用し生産を行う予定。昨年2月に確保した工場用地での新工場建設は年内に開始、19年にも生産を開始する予定。

 

日産とタンチョンモーターは、ミャンマー市場における商品ラインアップの強化と現地生産能力の拡大をコミットしている。今回の自動車生産開始は、両社がミャンマー市場で今後取り組む事業拡大計画において重要なマイルストーンとなる。生産開始の式典には、日産とタンチョンモーターの役員らに加え、同国経済界や自動車業界団体の要人とともにヤンゴン管区首相が参加した。

 

式典に出席したタンチョングループの顧問であるダトー・タン・セン・サン氏は、冒頭の挨拶で、「本日の『サニー』生産開始は、今後の自動車産業の発展に向けた、ミャンマー政府へのサポートとコミットメントをさらに強化するものです」、と述べた。

 

また、日産のアジア・オセアニア事業担当理事(RSVP)である真田裕氏は、「日産が、ミャンマーの自動車産業の成長を担う強力なプレイヤーになることを非常にうれしく思います。この地での車両生産開始は、フィリピンやベトナム、カンボジア、ラオスを含む幅広いアジア・オセアニア地域における当社の成長戦略において重要なマイルストーンです。日産は、ミャンマーの皆さんと長期的かつ生産的な関係を構築するとともに、今後もサプライチェーンを通じて価値を創出し、雇用や投資を活性化していきたいと考えています」、と述べた。

 

さらに、ヤンゴン管区首相であるピョウ・ミン・テイン氏は、「ミャンマーで唯一、日産車の独占販売を行うタンチョングループの事業拡大は、非常に喜ばしいことです。更にバゴー管区に建設されるCKD生産工場により、現地コミュニティーに投資や雇用機会がもたらされ、経済成長や所得水準の向上が促されるでしょう」、と述べた。

 

日産とタンチョンモーターは、昨年2月、バゴー管区で土地賃借契約に調印していた。

 

現在サニーを生産するタンチョンの工場の能力は年数百台規模。日産とタンチョンは2016年2月、バゴー管区で新工場向けの土地賃借契約に調印している。年内に工場建設に着手し、19年以降、年1万台の生産を目指す。投資額は5,000万ドル程度(約60億円)とみられる。

 

ミャンマーの自動車市場は年10万台程度。9割は日本製中古輸入車で、新車販売は年5,000台程度。自動車産業誘致や交通安全を重視する政府は、1月から中古車の輸入規制を強化。今後、新車市場の拡大が期待されている。

 

タンチョンモーター(ミャンマー)社

2013年5月に設立。ヤンゴン州カマユ郡区にある同社初の日産3S*店では、同地区の消費者にフルサービスを提供している。2013年8月15日に、日産とタンチョングループは、ミャンマー投資委員会より、同国における日産車の生産と販売を行うライセンス認可を受けた。新工場の建設に向け、タンチョングループとミャンマー政府は現地の人財採用による経済の活性化を目指し、緊密に取り組んでいる。また、将来の同国市場の発展に向けたトレーニングも提供している。

 

*:3S店:Sales、Service、Spare partsの3機能を持つ販売店

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