鴻海・シャープ、最大級パネル新工場に1兆円 中国・広州に建設

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業とシャープが共同出資するテレビ向け液晶パネル生産会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)は12月30日、中国の広州市政府と共同で、世界最大級のパネル工場新設を正式発表した。鴻海の郭台銘董事長が自ら鴻海・シャープのパネル事業の戦略を語る見通し。買収完了からわずか4カ月半で、早くも攻めに転じる節目を迎える。

 

12月30日、広州市内のホテルでSDPと市政府が新工場を中心とする産業園区の建設協定に調印した。工場は世界最先端の「第10.5世代」を予定。大型のガラス基板を使って生産効率を高め、コスト競争力や品質を磨いて韓国勢などに対抗する。2019年にも量産に入るとみられる。

 

SDPと広州市政府は式典で、共同の投資額は610億人民元(約1兆200億円)に上る見通し。最先端のパネルやスマートテレビの生産、パネルの技術開発などの機能も集約した産業園区を想定しており、世界最大級のパネル工場を中核とした生態系(エコシステム)を築くとしている。

 

鴻海は自ら主導してシャープのパネル事業を強化しており、直近ではシャープからSDP株の一部を引き取り子会社化した。SDPは17年中に韓国サムスン電子や中国の海信集団(ハイセンス)向けの大型パネルの販売を中断する見通し。パネル需要が回復するなか、取引条件を見直して採算を改善する。

 

拡大を目指すシャープのテレビ向けに振り向ける狙いもある。シャープは22日、以前売却で手放した欧州のテレビ事業を買い戻すと発表。鴻海・シャープはグループとしてテレビやパネルの世界戦略を再構築しており、広州の新工場建設で攻めに転じる。

 

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