東洋紡、エアバッグ事業で、総額100億円を投資

■第一段階はタイでの能力倍増

東洋紡は12月28日、自動車用のエアバッグ事業において、2017年度から2020年度にかけて総額100億円の投資を行い、拠点の整備、生産能力の増強等を図っていくと発表した。この投資により、アジア(日本、タイ、中国)と北米でのエアバッグ事業の位置付けを強固なものにするとともに、PHPとの協力のもと、欧州での拠点整備も検討していく。

第一段階として、タイの既存織布工場からエアバッグ用基布の織布工場を分離、自社化したうえで、生産能力を倍増する。これを手始めに、グローバル市場におけるエアバッグ用ナイロン原糸および基布の供給体制を確固なものにし、さらに存在感のある企業として、顧客の期待に応えていく。

東洋紡は、1993年に当時の蘭・アクゾ社からエアバッグ用基布のノンコート技術を取得し、エアバッグ事業に本格参入した。従来のコート布より高生産性、低コストであるノンコート布を武器に市場での存在感を高め、国内自動車メーカーにおけるシェアでは常にリーディングポジションを維持してきた。2001年には、東南アジアにおける自動車産業の中心地であるタイに基布生産の拠点を、2011年には中国に、2012年には北米に拠点を設立し、日本を含む世界4拠点でグローバルにエアバッグメーカーの需要に応えてきた。

一方、2014年には、ドイツの原糸メーカーであるPHP社をタイ・インドラマ社と共同で買収し、エアバッグ用ナイロン原糸の供給量では世界の4割を占める地位を確立。これにより、日系自動車メーカーだけでなく、世界のメーカーに原糸と基布を供給できる体制を整えた。

昨今、エアバッグメーカー再編の動きも見られる中で、東洋紡グループに対する各主要メーカーからの要求と期待も日増しに高まっている。エアバッグ市場は、今後も年率6%で成長するとの見通しもあり、今回の投資により、拠点の整備と生産能力の増強を行い、2017年以降の需要拡大に応える体制づくりを進めていく。

<タイ新会社>

・社名:TOYOBO SAHA SAFETY WEAVE CO.,LTD.

・所在地:49 Mu 3 Poochaosamingprai Rd., Samrongtai, Pharapradaeng,

Samutprakarn 10130 Thailand

・資本金:10億THB(約30億円)

・出資比率:東洋紡 75%、SAHA グループ 25%

・設立時期:2017年1月 (2017年3月事業開始)

・事業内容:エアバッグ用基布の製造

・設立の目的:今後の需要拡大の中で、顧客からの品質・開発・販売等への要求に迅速に対応するため

 

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