■総出荷金額(建機工)は8.1%増の2兆7,589億円
(*億円以下は切捨て表記)
2月に入って決算発表が相次ぐ欧米建機メーカーが発表している2019年Outlookにみる世界需要見通しは、一部に2019年後半における景気減速懸念はあるとしつつも、総じて数%程度の増加を見込んでいる。引き続き、一帯一路政策と景気刺激策を打ち出している都市化政策をすすめる中国、大規模なインフラ投資を打ち出しているトランプ政権の米国、ミニ・小型建機を主体にリーマンショック以前の過去最高水準に戻った欧州、これに連動し力を取り戻したインドネシアを主とする東南アジア市場、鈍足ながら需要の出てきたインドなど、2016年を底に回復している世界の鉱山機械(マイニング)も主力市場の統計を見る限り需要は比較的堅調で、対前年比で伸び率は鈍化したとしても2019年は前年水準を維持しそうだ。実際、米キャタピラーは見通しについて、「当社の多様な最終市場のファンダメンタルズ、ならびにマクロ経済および地政学的環境に基づき、緩やかな売上増加が見込まれる」としている。
最近発表された2018年(1~12月)の国内統計(現地生産分は除く)を経済産業省の機械統計、日本建設機械工業会の出荷額統計、財務省の貿易統計を過去5年データをPDFに整理してみた。(約2,200字+図表15点)
<生産統計>
トラクタ(ホイールローダ)の生産金額は同10.9%増の934億円、数量は同5.6%増の12,099台となった。
掘削機械の生産金額は同13.0%増の1兆3,115億円、数量は同7.3%増の192,130台となった。うち油圧ショベルの生産金額は同13.0%増の9,803億円、数量は同5.6%増の82,479台。
建設用クレーン全体の生産金額は同13.8%減の2,103億円、数量は同20.8%減の22,395台となった。
<出荷額統計>
出荷金額のうち、本体出荷金額は同7.1%増の2兆4,062億円。うち国内は同6.0%減の8,447億円、輸出は同7.9%増の1兆5,615億円。
本体機種別によると、油圧ショベルは、同11.0%増の1兆66億円。国内は同14.4%減の2,485億円、輸出は同22.9%増の7,581億円。ミニショベルは同8.8%増の3,141億円。国内は同6.2%増の884億円、輸出は同9.9%増の2,256億円。建設用クレーンは、同1.6%増の2,743億円。国内は同3.1%減の1,946億円、輸出は15.4%増の797億円となった。
補給部品は同9.8%増の3,526億円、うち国内は0.9%減の1,185億円、輸出は同16.2%増の2,341億円だった。
<貿易統計>
地域別によると、アメリカ向けは前年比14.1%増の4,014億円、EU向けは同23.6%増の2,484億円、アジア向けは同2.7%増の2,886億円。この3地域で建設用・鉱山用機械全体の74%(2017年=75%)を占めた。アジア向けのうち、中国は同28.0%増の387億円、ASEAN向けは同4.7%増の1,436億円。
中古車の金額は、同12.8%減の897億円、数量は同17.5%減の21,482台となった。上位輸出先では、フィリピンは金額・数量とも増加したが、香港、ベトナム、バングラデシュ、中国向けは減少した。
ミニショベル(新車)の金額は、同8.1%増の1,901億円、数量は同5.6%増の67,971台。主力仕向け先であるアメリカ、オランダ、オーストラリア向けは金額、数量とも伸びた。
中古車は同1.7%増の1,805億円、数量は同1.0%減の20,936台となった。主力仕向け先のベトナムは金額で12.2%減の49億円、数量では3.5%減の6,542台。香港向けは前年比20.0%増の33億円、台数は同9.1%増の2,409台となった。