・11億円投資で製造体制強化、補助金5億円活用
半導体レーザデバイスメーカーのQDレーザ(川崎市川崎区)は12月25日、約11億円を投じて大型MBE装置(分子線エピタキシー装置)を導入すると発表した。2027年4月頃の稼働開始を予定している。
同社は顧客基盤の拡大と用途領域の広がりを背景に、レーザデバイス事業が継続的な成長を遂げている。セミファブレス体制を採用する一方、競争力の源泉であるエピタキシャル成長工程については自社でMBE装置を保有・運用しており、この工程が製品性能と供給能力の両面で事業成長を支える中核プロセスとなっている。
近年の需要拡大により既存MBE装置の稼働率は高水準で推移しており、将来の受注拡大への対応が課題となっていた。また、新製品・新用途向けの開発案件も増加しており、開発と量産を両立できる製造基盤の整備が求められていた。
今回導入する装置は既存設備よりも大型で高い生産能力を有し、生産能力を現在の約4倍規模に拡大できる見込み。生産能力の拡大と製造体制の冗長化を同時に実現することで、安定供給体制を強化するとともに、成長分野における受注機会の獲得および新製品開発の加速を図る。
設置場所は神奈川県横浜市戸塚区上倉田町の同社拠点で、MBE装置本体のほか、設置用クリーンルームおよび装置冷却用配管も含まれる。取得資金は、12月19日に交付決定が公表された「中小企業成長加速化補助金」5億円と銀行借入を予定している。
同社は「本固定資産の取得により、レーザデバイス事業の競争力を高め、中長期的な企業価値の向上につなげる」としている。当期(2026年3月期)の業績への影響は軽微としている。