・製造・物流・建設から被災地支援まで、2027年度末の社会実装を視野
早稲田大学、三菱電機、清水建設の3者は12月24日、平常時と非常時の双方で活用可能な「フェーズフリーロボット」の研究開発を開始したと発表した。製造、物流、建設、オフィス、介護福祉などの通常業務で利用しつつ、災害発生時には被災者の検知や救援物資の配布、巡回、清掃などに転用できるロボットの実現を目指す。2027年度末までの社会実装を視野に、研究成果の段階的な実装も進める。
今回の研究開発では、平常時の業務利用を前提に設計したロボットに、非常時対応機能を組み込むことで、導入のハードルを下げる。研究期間中も検証と改良を重ね、部分的な成果については順次、現場への適用を進める方針だ。
推進体制は産学連携。早稲田大学がロボットのハードウェアおよびAIに関する要素技術の研究開発を担い、三菱電機が事業活動を通じた活用ソリューションの社会実装を担当する。清水建設は研究開発全体のとりまとめ役として、建設現場や災害対応の知見を生かした実証を進める。
研究代表者を務める早稲田大学理工学術院の菅野重樹教授は、「これまでムーンショット型研究開発事業などで培ってきたスマートロボットのマニピュレーション技術やAI実装の成果を高度化し、フェーズフリーロボットとして実装することで、被災地支援に貢献したい」とコメントしている。
産業利用と防災・減災を一体で捉えるフェーズフリーの考え方は、ロボット分野における新たな市場創出につながる可能性がある。3者の連携による実証と社会実装の進展が注目される。