三菱重工業と三菱電機は12月24日、共同で開発を進めてきた火力発電プラント向け「次世代ガスタービン制御システム」について、機能試験を完了したと発表した。再生可能エネルギーの出力変動を補完する迅速な負荷調整や、水素を含む燃料多様化への対応を可能とするもので、2026年度の新設案件向け市場投入を目指す。
今回機能試験を終えた制御システムは、三菱重工が培ってきたガスタービンの最適制御技術と、三菱電機の高速・大容量データ処理技術を統合した点が特徴。発電用大型ガスタービンの運転データが大容量化する中でも、効率的な処理と安定制御が可能であることを確認した。
同システムは、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備など火力発電プラントの稼働率や安全性を支える中核技術に位置付けられる。三菱重工は1980年代後半から制御システムの開発・提供を進め、独自開発の「DIASYS」シリーズを中心に、国内外60カ国以上で累計3,000件超を納入してきた実績を持つ。一方、三菱電機は1980年以降、電力会社規格に対応した計装制御システム「MELSEP」シリーズを火力・水力発電プラント向けに1,000件以上納入し、電力の安定供給を支えてきた。
近年は脱炭素化の進展を背景に、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う需給変動への対応や、天然ガスと水素の混焼など燃料多様化に柔軟に対応できる火力発電プラント運用が求められている。両社はこうした市場ニーズに応えるため、ガスタービン本体の大型化・高性能化にも対応可能な次世代制御システムの共同開発を進めてきた。
今後は、実機を模擬したシステム検証試験を実施するなど開発・検証をさらに深化させ、2026年度の市場投入に向けた準備を本格化させる。両社は、同制御システムを通じて電力の安定供給と脱炭素化の両立に貢献し、世界各地のエネルギーインフラの高度化を支えていく。