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米マニトワック、EUの対中移動式クレーン反ダンピング調査を支持

・欧州委、中国製大型移動式クレーン輸入で正式調査開始

マニトワック (Manitowoc Company, Inc. ):2025年12月19日

欧州委員会(European Commission)は12月19日、中国から輸入される移動式クレーンについて、反ダンピング調査を開始した。欧州の主要移動式クレーンメーカーが、ドイツ機械工業連盟(VDMA)のマテリアルハンドリング・イントラロジスティクス協会(VDMA Materials Handling and Intralogistics Association)を通じて申し立てを行ったことを受けたもの。

今回の調査対象は、陸上で資材の吊り上げ・移動を行う用途向けで、吊り上げ能力30トン以上、かつ自走式車両に搭載された移動式クレーン。これらの機種は、重要インフラ、防衛、エネルギー分野などに不可欠であり、欧州の戦略的自立性を支える中核的な設備と位置付けられている。

申立人として名を連ねるのは、欧州の移動式クレーン産業の大半を占める主要メーカーで、マニトワック(Manitowoc)、リープヘル(Liebherr)、ゼネボーゲン(Sennebogen)、タダノ(Tadano)などが含まれる。

マニトワックのアーロン・H・レイブンズクロフト(Aaron H. Ravenscroft)社長兼CEOは、「公正な競争環境を確保し、欧州における技術革新、製造基盤、雇用を守るため、EUによる反ダンピング調査を強く支持する。欧州委員会には、EU域内で公平な競争条件を回復するため、迅速な対応を求めたい」とコメントした。

欧州委員会による調査の行方次第では、中国製大型移動式クレーンに対する関税措置や輸入条件の見直しにつながる可能性があり、欧州市場における競争環境や調達戦略に影響を与えることも想定される。

マニトワックは1902年創業で、120年以上の歴史を持つ吊り上げ機械メーカー。移動式油圧クレーン、ラチスブーム式クローラクレーン、ブームトラック、タワークレーンなどを手掛け、グローブ(Grove)、ポテイン(Potain)などのブランドを展開している。

一方、VDMAマテリアルハンドリング・イントラロジスティクス協会は、クレーンや産業車両、物流システムなどを含む250社超の欧州企業で構成される業界団体。VDMA全体ではEU域内で約300万人を雇用し、機械・プラント産業は欧州の資本財産業における最大の雇用分野となっている。

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