国際ロボット連盟(IFR :International Federation of Robotics):2025年12月16日
伊藤会長は、2025年について「重要な技術的進展と業界全体の自信回復をもたらした年」と位置付けた。各地域で、これまで先送りされていた設備投資計画が再始動しており、産業用ロボットに加え、サービスロボット分野でも自動化需要の回復が鮮明になっていると分析する。
IFRが公表する統計データについても言及し、「業界のベンチマークにとどまらず、各国政府や金融機関、投資家にとっても重要な指標として活用されている」と強調した。スタンフォード大学(スタンフォード・ユニバーシティ〈Stanford University〉)の「AIインデックス・レポート」や、世界知的所有権機関(ワールド・インテレクチュアル・プロパティ・オーガニゼーション〈WIPO〉)が発行する「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」など、権威ある報告書にIFR統計が引用されている点を成果として挙げた。
技術動向では、AIを活用したロボット、自律移動システム、人とロボットの協働(ヒューマン・ロボット・コラボレーション)がイノベーションを加速させていると説明。特にヒューマノイドロボットの進展については、政策立案者や投資家、ユーザーとの間で、安全かつ有益な導入に向けたルールや指針を巡る議論が活発化しているとした。IFRではこれらの動向分析を強化しており、2026年を展望した主要トレンドを来年1~3月期に取りまとめ、公表する予定だという。
業界交流の面では、独ミュンヘンで開催されたロボット専門展示会「オートマティカ(Automatica)」に合わせて初開催した「IFRエグゼクティブ・ナイト」が成功を収めたことを紹介。AIとロボットをテーマにした基調講演や、業界トップによるネットワーキングの場として高い評価を得たとし、今後も戦略的対話のための重要な取り組みとして継続する方針を示した。
2026年に向けては、各地でのロボット関連展示会やイベントの開催に加え、IFR内部での協調活動を通じ、知見共有と業界の発信力強化を進める考えを示した。サービスロボットの成長、モバイルロボットの成熟、AIのさらなる統合を背景に、「ロボット産業は極めてダイナミックな成長局面に入る」との見通しを示している。
伊藤会長は最後に、「統計データの提供や委員会活動などを通じてIFRを支えてきた会員、各国団体、パートナーに感謝する」と述べ、ロボットコミュニティ全体の連携強化に期待を示した。