・総事業費81.5億円、2030年度売上219億円目指す
医療・福祉給食事業を展開するアイサービス(広島県尾道市)は12月3日、岡山県笠岡市の既存工場敷地内に冷凍弁当専用の第2工場を建設すると発表した。総事業費は81.5億円(うち補助金20.6億円)で、高齢者施設向け冷凍弁当の需要拡大に対応する。
■深刻化する人手不足に対応
こうした状況下で、高齢者施設では盛り付け作業に必要な人員確保が困難となるケースが増加しており、盛り付け済みの冷凍弁当への需要が着実に高まっている。
■製造能力と物流効率を大幅強化
新工場では、同社が1日15万食の製造実績で培ってきたミキサー食・ムース食などの技術力を活かしつつ、冷凍弁当の製造能力を大幅に拡大する。主な設備投資内容は、工場建屋52.0億円、自動倉庫3.0億円、ピッキング設備1.2億円など。
新たに米飯・玉子商品の製造も開始し、エンドユーザーの利便性向上とたんぱく質摂取強化など、新たな付加価値の創出を図る。自動倉庫の導入により原料・製品の冷凍保管能力を大幅に拡大し、入出荷業務と国内物流コストの効率化も実現する。
■2030年度に売上233%成長目指す
同社は現在、主要原料の海外からの直接調達、製造商品の仕分け、関東・関西エリアへの幹線便配送などを内製化している。今後見込まれる物量増加に対応するため、原料仕入から商品配送まで、独自内製分野をさらに強化する方針だ。
売上成長目標は、2023年度96億円から2030年度219億円へと123億円の増加(成長率233%)を見込む。工場建設3年後の2027年度には94億円を計画している。
■従業員への積極還元も
労働生産性は2027年度の416万円から2030年度には660万円へ、従業員1人あたり給与支給総額も314万円から374万円へと引き上げる計画。補助事業に係る従業員数は685人から795人へ増加する見込みだ。
同社は「自社の成長によって創出した利益は、積極的に従業員へ還元する」との方針を掲げており、賃金向上にとどまらず、従業員およびその家族を対象とした福祉施設の整備計画も推進する。
医療・福祉給食運営の効率化と省人化が急務となる中、冷凍弁当市場は今後さらなる拡大が見込まれる。同社は今回の設備投資により、質・価格ともに圧倒的な差別化を図り、成長市場における確固たる競争優位の確立を目指す。
<設備投資の内容>(アイサービス発表)
事業費:81.5億円(補助金20.6億円)
工場建屋:52.0億円
自動倉庫:3.0億円
ピッキング設備:1.2億円など
<参考:設備投資の概要>(岡山県発表)
事業所:アイサービス(株)笠岡第二工場
所在地:岡山県笠岡市港町1番34,36
投資額:約70億円 ※県補助金:約1億900万円(予定)
事業内容:高齢者向け冷凍惣菜・弁当の製造
着工年月:2026年1月
操業年月:2027年7月