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FUJI、1台3役の多機能AMRを実証運用

・カインズ新店舗で24時間無人稼働、小売現場の効率化検証

電子部品実装ロボット大手のFUJI(愛知県知立市)は12月15日、カインズ(埼玉県本庄市)が12月11日にオープンした次世代型店舗「カインズ吉川美南店」(埼玉県吉川市)において、自社開発の多機能搬送ロボットによる24時間無人運転の実証運用を開始したと発表した。

今回投入した多機能搬送ロボットは、同社が複数店舗で運用実績を持つカゴ台車搬送ロボットをベースに開発。最大500kgのカゴ台車搬送に加え、清掃機能と販促支援機能を搭載し、時間帯に応じて役割を切り替えて稼働する。夜間はカゴ台車搬送、開店前は清掃、日中は販促支援と、ユニット交換により1台で複数業務をこなす点が特徴。

小売業界では深刻な人手不足を背景にロボット導入が進む一方、複数の単機能ロボットを導入すると運用管理が複雑化し、メンテナンスやスタッフ教育の負担が増大する課題があった。また、単機能ロボットは稼働時間帯が限られ、待機時間が長いため費用対効果が得にくい。限られた店舗面積では導入できる設備にも制約があることから、高稼働で多機能なロボットへの期待が高まっている。

実証では、役割切替の運用性、店舗スタッフとの協働性、来店客動線との両立、稼働率、業務負荷軽減などを多角的に評価。1台の多機能AMR(自律走行搬送ロボット)が店舗業務の負担軽減と高効率稼働にどこまで寄与できるかを検証する。

FUJIは1959年創業。電子部品実装ロボットと工作機械で世界のものづくりを支えてきた。近年は製造、介護、物流など、ロボティクスが期待される分野への展開を加速。今回の実証で得られる運用データをもとに、多様な店舗環境や業態への適用性を検証し、同様の課題を抱える小売各社との共創による実証フィールド拡大を目指す。

同社は「1台のAMRがマルチに機能する多機能搬送ロボットの実用化に向けた初の試み」とし、小売店舗のオペレーション革新への貢献を期待している。

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