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ユングハインリッヒ、チョコレートメーカーの物流を半自動化、混載運用で高スループットと安定稼働を実現

ユングハインリッヒ(Jungheinrich):2025年12月16日

ユングハインリッヒは、チョコレートメーカーのアルフレート・リッター(Alfred Ritter GmbH & Co. KG)がドイツ・デッテンハウゼンに構える外部倉庫において、高性能な半自動マテリアルハンドリングソリューションを導入した。床上搬送の約90%を自動化し、高い処理能力を維持しながら、安定した物流プロセスを実現している。

同社は4世代にわたり「リッター・スポーツ(Ritter Sport)」ブランドでチョコレートを世界市場に供給してきた。ヘーゼルナッツやアーモンド、マジパン、ビスケットといった原材料および包装資材は、デッテンハウゼンの外部倉庫から近隣のヴァルデンブーフ工場へと供給されている。需要の高まりを背景に、同社は倉庫を拡張し、拡張性を備えた半自動ソリューションの採用を決めた。

デッテンハウゼン倉庫のサイトマネージャーを務めるダニエル・フルバン(Daniel Vrban)氏は、「ユングハインリッヒの車両は、床上搬送の約90%を担っており、大きな助けになっている。手動と自動の技術を組み合わせた運用は非常にうまく機能している。事前シミュレーションや運用中のノウハウ共有が、プロセス最適化に大きく寄与した」と評価している。

■モバイルロボットが毎時最大60件の搬送を処理

システムの中核を担うのは、リチウムイオン電池を搭載した自動搬送車(AGV)「EKS 215a」4台だ。ウェアハウスナビゲーション(warehouseNAVIGATION)により倉庫内を高精度で走行し、1時間当たり最大60件の搬送作業をこなす。300アンペア対応の自動充電ステーション2基を備え、短時間充電と多シフト運用での高稼働率を確保している。

AGV群は、手動の狭通路型フォークリフト「EKX 516k」および「EFX 413」と組み合わせて運用される。人と機械が混在する運用は、ユングハインリッヒ・ロジスティクス・インターフェース(Jungheinrich Logistics Interface)が統合制御。車両の切り替えや動線を管理し、インテリジェント信号制御によって衝突を防止する。

運用上の課題となったのが、パレットから最大15センチメートルはみ出す大型バッグの取り扱いだった。これに対し、ユングハインリッヒはプロジェクト専用の制御改良と間隔調整ソリューションを開発し、製品損傷のない搬送を可能にした。

■狭通路車両とAGVを連携させる「ハンドシェイク」プロセス

本プロジェクトの特徴が、手動車両と自動車両の連携を安全に実現する「ハンドシェイク」プロセスだ。狭通路車両がレーン変更を行う際、該当エリアからすべてのモバイルロボットを自動的に退避させ、フォークリフトが元のレーンに戻った後にのみ再稼働を許可する仕組みとした。これにより、常に保護された安定的な物流フローを維持できる。

ユングハインリッヒのプロジェクトマネージャーであるヘネス・フィッシュバッハ(Hennes Fischbach)氏は、「狭通路車両とモバイルロボットの相互作用、そして専用に開発したハンドシェイクが、このプロジェクトの最大の特長だ。プロセス信頼性を大幅に高めている」と語る。

■フルサービス契約で将来拡張にも対応

アルフレート・リッターは、5年間のフルサービス契約も締結。専用ホットラインによるリモートサポートと、ユングハインリッヒのサービスネットワークによる技術支援を受けられる体制を整えた。必要に応じて4時間以内に技術者が現地対応する。

新設備により、同社は保管能力と効率を向上させ、将来成長に向けた基盤を構築した。スケーラブルな構成のため、モバイルロボットの追加や、さらなる保管エリアの自動化も柔軟に行えるとしている。

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