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米ムーグ、ナイロン・マグネティクスとレアアースフリーのアクチュエータ技術を共同開発

・防衛用途向けに供給網強化と代替磁石活用を推進

ムーグ(Moog Inc.):2025年12月11日

ムーグと米ナイロン・マグネティクス(Niron Magnetics)は12月11日、誘導兵器システム向けに、レアアース(希土類)を使用しないアクチュエータ設計の共同開発を進めると発表した。両社は高性能レアアースフリー磁石および精密モーション・流体制御技術を組み合わせ、米国防総省(DoD)が打ち出した調達改革戦略(ATS)に合致する供給網の多様化と国産技術の強化を図る。

同協業では、ナイロン・マグネティクスが開発した窒化鉄(Iron Nitride)磁石技術をムーグが評価し、電気信号を高精度な機械運動に変換するアクチュエーション用途への適用可能性を検証する。レアアース使用量を削減しつつ、防衛システム向けの性能と信頼性を確保する狙いだ。

ムーグでランド・アンド・シーシステム事業部を統括するジェイソン・ワイス氏(Jason Weiss)は、「希土類への依存度を下げることは、供給網の強靱化と継続的な兵站支援に不可欠だ。潜在的な脆弱性を事前に解消することで、作戦準備態勢を守り、イノベーションと国家安全保障への貢献を強化できる」と述べた。

希土類の調達は、航空宇宙・防衛・重要インフラ分野で特にリスクが高まっており、国防総省が提起する「産業基盤の拡大」と「国産技術の活用」への対応が求められている。今回の協業は、商業ベースで入手可能な国産技術を活用し、サプライチェーンの耐性向上を目指す取り組みの一環となる。

ムーグの防衛事業部エンジニアリングディレクター、ポール・ストールティング氏(Paul Stoelting)は、「ナイロン・マグネティクスの磁石技術は国産生産能力を高め、リードタイム短縮やリスク低減に寄与する。自由を守る人々に継続して装備を届けるための重要な要素だ」とコメントした。

ナイロン・マグネティクスの最高経営責任者(CEO)ジョナサン・ラウントリー氏(Jonathan Rowntree)は、「両社は革新的ソリューションで業界を前進させてきた実績がある。米国の技術力を示すモーションコントロール製品の開発を通じて、防衛分野の高い信頼性と性能要求に応えていきたい」と述べた。

ナイロン・マグネティクスは、世界で唯一、完全レアアースフリーの高性能永久磁石を量産する企業で、工業・自動車・民生電子・防衛の各用途に供給。ミネソタ州の製造拠点でスケーラブルな窒化鉄磁石を生産し、国内製造需要に応えている。

ムーグは精密モーション制御および流体制御システムの大手で、航空機、宇宙機、ミサイル、防衛システム、自動化機械、医療機器など幅広い分野へ高性能制御技術を提供している。

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