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積水化学、カナダでモジュラー建築事業に本格参入、オンタリオ州に新工場

・北米の住宅不足解消へ

積水化学工業は12月11日、11月28日付けでカナダ・オンタリオ州に鉄骨モジュラー建築の製造拠点となる新会社「SEKISUI CANADA MODULAR SOLUTIONS INC.」を設立したと発表した。12月下旬に設立総会を開催し、本格的な事業展開に乗り出す。資本金は1,500万カナダドル。

■深刻化する住宅不足に商機

カナダでは積極的な移民政策により都市部への人口集中が加速し、住宅不足と住居費の高騰が深刻な社会問題となっている。カナダ政府は工期短縮とコスト削減が期待できるモジュラー建築を問題解決の切り札と位置づけており、今後の法整備を含めた市場環境の整備が進む見通し。

同社住宅カンパニーの吉田匡秀プレジデントは、日本国内で50年以上にわたり67万棟を超える「セキスイハイム」を供給してきた実績と、タイでの事業展開で培ったノウハウを北米市場に展開する方針を示した。

■3年でビジネスモデル確立目指す

新会社は2026年7月頃までに設計・製造・販売体制を整備する計画。製造能力は年間500〜600モジュラーを見込む。代表取締役社長には木藤昌俊氏が就任予定。

ターゲット市場はカナダ人口の約4割が集中するオンタリオ州で、州都トロントのほかオタワ、モントリオールなどの都市圏を重点エリアとする。まず移民・留学生増加に伴う教室不足に対応する平屋〜2階建ての学校施設、4〜8階建ての集合住宅、介護施設などの供給を目指す。

同社は現地パートナーとのサプライチェーン構築を進めながら、3年を目途にカナダ東部でのビジネスモデルを確立させる方針。その後は現地デベロッパーやゼネコンとの協業により、市場規模の大きい米国の中高層モジュラー市場への参入や、カナダ西部への事業拡大も視野に入れている。

■工業化技術で品質と効率を両立

モジュラー建築は標準化された部品を工場で事前製造し、現場施工を最小化する建築方式。同社は3Dボックス化まで工場で行う方式を採用する予定で、高い品質管理と工期短縮の両立を図る。

北米では現在、モジュラー建築市場は創成期にあり、法整備とともに今後の急成長が予想される。日系企業による本格的な製造拠点の設立は、北米モジュラー建築市場の発展に新たな弾みをつけることになりそうだ。

<スケジュール>
・2025年12月〜2026年3月:事業立上げ準備(生産設備導入、認証取得)
・2026年4月〜6月:製造テスト
・2026年7月:本格製造開始予定

ニュースリリース

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