・ポニーエーアイ(Pony.ai)との共同開発モデル、来年に商用運行開始
三一(SANY):2025年12月8日
三一集団(SANY Group)は、三一重トラック(SANY Heavy Truck)とポニーエーアイ(Pony.ai)が共同開発した第4世代自動運転大型トラックが量産段階に到達したと発表した。初号車は来年にも商用運行に投入される予定で、中国における自動運転物流の本格的な商用化を後押しする。
同社はこの成果について、物流業界のデジタル化・インテリジェント化・低炭素化を加速させる重要な節目と位置付けている。
■ 技術面の進展:大容量バッテリーと完全冗長ワイヤ制御シャシー
新型モデルは400kWh超の大容量バッテリーパックを搭載し、車両1台あたり年間約60トンのCO₂削減が可能と見込む。物流分野での低炭素化指標となる性能を備えた。
安全面では、完全冗長型ドライブ・バイ・ワイヤ(線制御)シャシーを採用。
冗長化の対象は以下6つの中核システムに及ぶ:
• ステアリング
• ブレーキ
• 通信
• 電源
• コンピューティング
• センシング
電磁両立性(EMC)試験や極端環境試験もクリアし、自動運転トラックの安全基準を業界全体で引き上げる構造とした。
■ 1+4隊列走行で大幅なコスト削減
運行効率の面では、有人1台+無人4台による「1+4隊列走行(プラトーニング)」を実現。試算では、
• 輸送コストを29%削減
• 事業利益を195%向上
と高い経済性を示しており、港湾物流などで複製可能なモデルとして期待される。
■ 三一幹部「デジタル化・脱炭素化戦略の節目」
調印式で三一集団副総裁であり、三一重トラックの販売総責任者を務める周万春(Zhou Wanchun)氏は次のように述べた。
「第4世代自動運転トラックの量産到達は、当社のデジタル化・脱炭素化戦略における重要なマイルストーンだ。完全冗長の線制御シャシーは自動運転の信頼性を支える基盤であり、ポニーエーアイとの協業により、自動運転物流機器の普及に拍車がかかる」
■ 2022年から戦略連携、5G+自動運転+電動化を世界初で実装
三一とポニーエーアイは2022年に戦略提携を開始。
• 三一の線制御シャシー開発力
• ポニーエーアイの自動運転技術
が強力に補完し合い、世界初の「5G+自動運転+電動化」重トラック商用展開を実現してきた。
また中国外運(Sinotrans)と連携し、「車両+技術+運用シナリオ」の産業モデルを構築。製造能力・技術成熟度・実運用を最適に連携させる枠組みを整えた。
■ デモ段階から本格商用へ、物流の自動化・低炭素化を加速
今回の第4世代モデル量産により、業界はこれまでの限定的なデモ運行から、大規模な無人商用運行フェーズへ移行するとみられる。
三一とポニーエーアイは、技術、安全、低炭素性、事業採算性の全てを強化しながら、物流業界のインテリジェント化・グリーン化をさらに推進していく方針。