・北米で需要が続く自動車用ターボチャージャ市場に向け生産体制強化、USMCA適合も推進
三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET、相模原市中央区)は、米国インディアナ州に構える自動車用ターボチャージャ生産拠点「Mitsubishi Turbocharger and Engine America, Inc.(MTEA)」フランクリン工場の開設10周年を迎えた。同工場は累計650万台のターボチャージャを生産しており、2030年には1,000万台到達が見込まれる。
式典は11月7日に開催され、フランクリン市のスティーブ・バーネット市長をはじめ、MHIET幹部や関係者が出席。バーネット市長は「技術力とチームワーク、そして日本の文化を体現したMHIETの事業は地域に大きく貢献している」と述べた。
■北米で継続するターボ需要に対応、顧客から品質と供給体制で高評価
北米では依然としてガソリンエンジン向けターボ搭載モデルの開発が進んでおり、部材調達リードタイム短縮や量産対応力が求められている。同工場では、自動化した組立ラインとトレーサビリティ管理を組み合わせた量産体制を整備。加えて「5S」を徹底し、主要自動車メーカーのエンジン工場近隣に拠点を配置することで配送リードタイム短縮を実現した。
その結果、2024年には米国ゼネラル・モーターズから3度目となる「Supplier of the Year」を受賞。北米Hondaからも複数回にわたり「Excellence in Delivery and Quality Award」を受賞するなど、供給の安定性と品質管理体制が顧客から高く評価されている。
■USMCA対応進展、北米域内サプライチェーンを拡大
貿易政策の変化に伴いUSMCA(米・メキシコ・カナダ協定)適合が重視される中、同工場は原産地規則の「LVC(労働価値割合)」に適合済み。さらに「RVC(域内原産割合)」要件対応に向け、北米域内企業との調達ネットワーク拡張を進めている。
MHIETでは、ターボチャージャの北米供給拡大を見据え、継続的な生産能力強化と地域密着型サプライチェーンの構築を進める方針。
同社は「高品質な製品と柔軟な供給体制を通じ、北米市場での競争力を一層高める」としている。
■MTEA概要
社名:Mitsubishi Turbocharger and Engine America, Inc.
所在地(本社):Two Pierce Place, 11th Floor, Itasca, IL 60143, U.S.A.
所在地(工場):1200 North Mitsubishi Parkway, Franklin, IN 46131, U.S.A.
事業内容:産業用エンジンの販売、ターボチャージャの製造・販売、部品供給・サービス
沿革:
・1985年4月 MENA設立
・2015年5月 フランクリン工場稼働
・2022年4月 累計生産500万台