・海外収益拡大へ、東西製鉄所に続く第3拠点として位置付け
JFEスチールは12月3日、インド鉄鋼大手JSWスチール（JSW Steel Limited）と共同で、同国オディシャ州に拠点を持つ一貫製鉄企業Bhushan Power & Steel Limited（BPSL社）の合弁化に合意した。JFEスチールはBPSL社に対し1,575億ルピー（約2,700億円）を出資し、出資比率はJFE・JSW双方50%の折半となる。今後、関連当局の承認手続きを経て合弁会社化を完了する。
JFEスチールは今回の合弁事業を、国内の東日本製鉄所・西日本製鉄所に次ぐ「第3の一貫製鉄所」と位置づけ、海外事業利益の拡大を目指す方針。同社は2035年度までに鉄鋼事業セグメント利益5,000億円、うち海外事業収益2,000億円の確保を掲げており、その実現に向けた戦略投資の一環となる。
■トップコメント
代表取締役社長の広瀬政之氏は、「今回の合弁事業はJSW社との協業フェーズを新段階へ引き上げるもの。当社技術力とJSW社の生産運営力を融合することで、高付加価値鋼材の供給拡大とインド鉄鋼産業への貢献を強めていく」と述べた。
一方、JSW Steel Limitedのアチャリア社長は、「JFEスチールとのパートナーシップ深化により、高成長市場における競争力を一段と高め、ステークホルダーへ長期的価値を提供できる」とコメントした。
＜プロジェクト概要＞
事業内容：インド一貫製鉄所の合弁事業化（BPSL社）
所在地：インド・オディシャ州サンバルプル
出資額：1,575億ルピー（約2,700億円）
出資構成：JFEスチール50%／JSWスチール50%
合弁対象企業：Bhushan Power & Steel Limited
現行生産能力：粗鋼450万t／年
将来計画：2030年までに1,000万t、将来的に1,500万t規模へ拡張
製品：熱延鋼板、冷延鋼板、棒鋼、線材、鋼管
従業員：約25,000名
取締役構成：JFE・JSW双方より同数選任
本件は、日本鉄鋼メーカーの海外での製造一体型出資としては最大級規模となり、需要拡大が続くインド鉄鋼市場における安定供給網確立と事業基盤強化が狙い。今後、技術融合と生産体制高度化による早期の収益化が焦点となる。