ダンフォス(Danfoss):2025年11月25日
同社では従来、プレヒータパイプの接続加工に最高500℃の高温炉を用いたろう付け方式を採用。水素と窒素を併用する工程の特性上、ATEX(防爆)認証設備が必須で、爆発リスク対策や専門資格保有者の確保、高額な安全教育が運用上の課題となっていた。また、設備の消費電力やメンテナンス費用が高止まりし、長期運用の負荷が指摘されていた。
こうした課題を受け、技術部門と生産部門が代替手段を検討。性能要件を満たすとともにサステナビリティに適合するソリューションとして、レーザー溶接技術の導入を決定した。
新たに導入される溶接プレヒータ装置は、レーザー安全基準クラス1に分類される密閉型設計で、ATEX環境が不要となる。これにより危険ガス使用や厳格な作業資格制度の大幅削減が可能となり、運用リスク低減と教育体系のスリム化につながる見通し。
生産性面でも効果は大きい。レーザー方式は電力使用量が少なく、保守点検も最小限で済むため、設備停止リスクが低減し安定稼働が見込まれる。同社では数年以内に投資回収が可能と試算している。
同社のレザ・アボルハサニ (Reza Abolhassani)氏は次のようにコメントしている。
「レーザー溶接技術への移行は、当社生産体制の大きな前進です。安全性と効率が高まるだけでなく、持続可能な製造技術への転換を象徴する取り組みです。CO₂排出量も大幅に削減し、より良い未来のものづくりへ貢献します」
今回の設備転換は、同社が掲げるスマートマニュファクチャリングと環境配慮型生産への移行を加速させる象徴的なプロジェクト。同社では今後も安全性・品質・環境性能を軸とした技術革新を継続し、新たな生産基準の確立を目指す。