日本ガイシ(名古屋市瑞穂区)は11月14日、AI・自動運転向け半導体の高度化に伴い需要が急増する「ハイセラムキャリア」(画像)について、グループ全体の生産能力を2027年度までに約3倍へ拡大する。次世代半導体向けサポートウエハーの量産体制を固めることで、高性能半導体市場で2030年度に売上高200億円の達成を目指す。
素材には、同社が培ってきた透光性セラミックス「ハイセラム」を採用。高い剛性・耐久性を備え、ガラス製サポートウエハーで課題となっていた反りや破損を大幅に抑制できる点が評価されている。製造安定性の向上やロス削減につながり、ユーザーからの引き合いも強いという。
今回の増産投資では、主力製造を担うNGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)の設備増強に加え、前工程を担当するNGKエレクトロデバイス(山口県美祢市)に成形・焼成設備を新設し、グループ全体での供給能力を引き上げる体制を整える。
日本ガイシグループは、中長期方針「NGKグループビジョン Road to 2050」でカーボンニュートラル(CN)・デジタル社会(DS)分野への事業転換を進めており、2030年に新事業で1,000億円規模を目指す「New Value 1000」を推進している。ハイセラムキャリアは、次世代半導体製造を支える重点商材として期待がかかる。
<プロジェクト概要>
生産能力:2027年度までに現状比約3倍へ拡大
対象製品:ハイセラムキャリア(チップレット集積向けサポートウエハー)
投資内容:NGKセラミックデバイスの設備増強、NGKエレクトロデバイスに成形・焼成設備を新設
投資目的:次世代半導体市場向け供給体制の強化
目標:2030年度に売上高200億円
背景:生成AI普及・チップレット集積の進展による需要拡大
備考:2026年4月1日にNGKエレクトロデバイスの組織再編を予定(営業部門を日本ガイシへ継承、製造部門をNGKセラミックデバイスへ移管)