大成建設は11月17日、半導体製造装置向け高性能機器免震装置「TASSユニット®」の新型モデルを改良し、最大震度6弱程度の大地震に加え、震度3〜5弱の中小地震においても高い免震性能を発揮する機能拡張を実現したと発表した。これにより、多様な規模の地震発生時に半導体装置や生産中のウェーハの損傷リスクを大幅に低減し、製造現場の生産性向上に寄与する。
TASSユニットは、2009年に大成建設とエーエスの共同開発による製品で、石英部品等の半導体製造装置の重要部品を大地震時の損傷から保護する目的で開発された。車輪とレール一体構造の転がり支承型ユニットを採用し、水平2方向の免震構造によって、地震時の揺れを効果的に吸収・減衰する。
2022年にはユニットの共通化や設置架台の合理化による新型モデルを展開。国内外で従来型と新型を合わせて約4,000台を納入してきたが、近年、プロセスノードの微細化が加速する中、頻発する中小地震による製造中ウェーハ等の破損リスク対応が求められていた。
今回の改良では、転がり支承の車輪部分に摩擦抵抗を切り替える新技術を導入することで、地震規模ごとに最適な免震性能を発揮できるようにした。標準摩擦タイプに加え、低摩擦タイプの車輪、および切替型レールを組み合わせることで、ストロークが小さい中小地震から大きな大地震まで一台で対応可能としている。
新型TASSユニットは、従来型同等の基本構造と導入コストを維持しつつ、発注から最短1か月での納品が可能。大成建設は今後、免震性能を拡張したTASSユニットのラインナップを強化し、国内外の半導体製造装置分野へさらなる普及を目指す方針。
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