大塚化学(大阪市中央区)は11月18日、アクリル系ブロック共重合体「クラリティ(Clarity)」に関するクラレの知的財産権および製造技術の一部を導入し、機能性ポリマー事業の強化に向けて徳島工場で新プラント建設に着手したと発表した。
クラレが長年展開してきたリビングアニオン重合技術を取得することで、既存のリビングラジカル重合法(TERP法)と並ぶ二つの制御重合技術を自社に取り込み、半導体・エレクトロニクス分野を中心とした高機能ポリマーの開発を加速する。
今回導入した「クラリティ」技術は、独自触媒システムによるリビングアニオン重合を核とし、極めて狭い分子量分布と高純度を特長とするアクリル系制御ポリマー。透明性が高く、軟質から硬質まで物性設計が可能で、改質剤・添加剤・粘着剤・成形材料など幅広い用途を持つ。
一方、大塚化学は独自開発したリビングラジカル重合法(TERP法)による「TERPLUS(タープラス)」を展開。液晶ディスプレイ用カラーフィルター向け顔料分散剤として需要を伸ばし、今後はインクジェット印刷向け分散剤やバイオ医薬原薬精製向け中空糸膜用途でも需要増が見込まれている。
今回、アニオンとラジカルの二つの制御重合技術を併せ持つことで、顧客仕様に応じた新機能ポリマーの提案が可能となる。大塚化学は「クラリティ」ユーザー向けの代替供給体制の整備と並行し、次世代材料の開発を強化する構えだ。
同社は、高機能化・多機能化を実現できる二つのリビング重合技術を軸に、他社では実現困難なカスタマイズポリマーの提供を目指す。半導体、エレクトロニクス、医療など技術革新が進む領域でのソリューション提案力を高め、「素材のチカラをカタチにする」企業として事業価値向上を図る。
<プロジェクト概要>
建屋:地上4階、延べ床面積約1,546.88m²
所在地:大塚化学 徳島工場内
用途:有機溶媒系ポリマーおよび水系ポリマーの生産
技術:クラレのリビングアニオン重合技術、TERP法との併用
稼働開始:2027年5月