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日精樹脂工業とTOYOイノベックス、共同持株会社設立で経営統合へ

・射出成形機専業2社が「対等の精神」で統合、グローバル競争力強化図る

射出成形機の国内トップメーカーである日精樹脂工業(長野県埴科郡、依田穂積社長)とTOYOイノベックス(兵庫県明石市、田畑禎章社長、旧・東洋機械金属)は11月14日、共同株式移転により完全親会社となる「GMSグループ株式会社」を2026年4月1日付で設立し、経営統合すると発表した。両社はそれぞれ同日開催の取締役会で経営統合契約書を締結し、株式移転計画書を共同で作成した。

■アジア勢台頭に危機感

今回の統合の背景には、両社を取り巻く厳しい経営環境がある。地政学リスクの高まりに伴う需要低迷やコスト高騰、アジア系企業の台頭によるグローバル競争の激化、技能労働者不足や環境対応製品への要求の高まりなど、課題は山積している。

両社は協議を重ねる中で、「従来のやり方だけでは成長や生き残りに限界がある」との共通認識に達した。統合により単独では実現できない取り組みが可能になると判断し、顧客や従業員、株主などステークホルダーの利益、ひいては企業価値の最大化につながるとしている。

■製品ポートフォリオで補完関係

両社がお互いを「ベストパートナー」と判断した理由は明確だ。専業メーカーとして「成形」を通じて社会に貢献する理念を共有し、企業文化が近い。何より、射出成形機の製品ポートフォリオが多くの面で補完関係にある点が大きい。

型締トン数でみると、小型(500トン以下)では両社とも電気式で競合するが、中型(501~1,000トン)以上では日精樹脂工業が電気式、TOYOイノベックスがハイブリッド式と棲み分けができている。また、TOYOイノベックスが手掛けるダイカストマシンは日精樹脂工業が扱っておらず、完全な補完関係にある。

■「Global Molding Solutions」を体現

両社が目指す姿は「成形イノベーションで、顧客の新たな価値創造に貢献する、グローバル・リーディンググループ」だ。持株会社名の「GMS」は『Global Molding Solutions』の頭文字で、成形機だけでなくプラットフォームやソリューションも提供し、業界再編の中心的存在としてグローバルに活躍するグループを形成したいという思いが込められている。

■バリューチェーン全体でシナジー創出

統合により想定されるシナジー効果は広範囲に及ぶ。設計・開発面では制御系技術の内製化・統合による競争力向上、機械系部品の共有化による原価低減を図る。調達では共同・集中購買によるスケールメリットを享受し、製造では拠点の統合・相互利用で生産効率を向上させる。販売面ではクロスセル促進による売上拡大、サービス面では拠点・人材の相互利用によるサービス体制強化を進める計画だ。

■株式移転比率は2対1.51

株式移転比率は、日精樹脂工業の普通株式1株に対し共同持株会社の普通株式2株、TOYOイノベックスの普通株式1株に対し同1.51株を割り当てる。両社はそれぞれ独立した第三者算定機関(日精樹脂工業はSMBC日興証券、TOYOイノベックスは山田コンサルティンググループ)から株式移転比率算定書を取得し、公正性を担保している。

共同持株会社の代表取締役会長兼CEOには依田穂積氏(現日精樹脂工業社長)、代表取締役社長兼COOには田畑禎章氏(現TOYOイノベックス社長)が就任予定。資本金は3億円で、東京証券取引所プライム市場への新規上場(テクニカル上場)を予定している。

■2026年1月に臨時株主総会

今後のスケジュールは、2026年1月30日に両社で株式移転計画承認臨時株主総会を開催。同年3月30日に両社とも上場廃止となり、4月1日に共同持株会社が設立・上場する予定だ。

日精樹脂工業は1947年創業で、2025年3月期の海外売上高比率は66.8%。日本、中国、タイ、米国、イタリアの5カ国に製造拠点を持ち、インドにも新工場建設を予定している。一方、TOYOイノベックスは1925年創業で、同期の海外売上高比率は69.5%。射出成形機関連が売上高の73.2%、ダイカストマシン関連が26.8%を占める。

両社の統合により、国内トップクラス、かつグローバルでも高いプレゼンスを持つ成形機械グループの誕生が期待される。​​​​​​​​​​​​​​​​

詳細は、ニュースリリース

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