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三井金属、高周波基板用銅箔「VSP™」の生産体制を強化

・台湾・マレーシア両工場で総額60億円を投資、2028年までに月産1,200トン体制へ

三井金属は11月11日、高周波基板用電解銅箔「VSP™」の需要拡大に対応するため、台湾およびマレーシアの両生産拠点において追加投資を実施し、生産能力を段階的に増強すると発表した。総投資額は約60億円で、2028年9月までに現行の月産620トンから1,200トン体制へ引き上げる計画。

同社は2025年8月に発表した増産計画(2026年9月までに840トン/月)をさらに上回るもので、2027年9月に1,000トン/月、2028年9月に最終的に1,200トン/月へと引き上げる段階的拡張を行う。今回の投資は、ROIC経営の方針に基づき、十分な収益性を確保した上での判断としている。

■高周波通信機器向け需要が急拡大

同社の高周波基板用電解銅箔「VSP™」は、高周波数帯における信号伝送損失を低減できる特性を持ち、サーバー、ルーター、スイッチなど高性能通信インフラ機器で採用が進む。特にAIインフラ用途では、低粗度・高性能タイプの「HVLP5」グレードが量産段階に入り、米国を中心とするビッグテック企業による採用が急速に拡大している。

これを背景に、同社では台湾工場(台湾銅箔股份有限公司)およびマレーシア工場(Mitsui Copper Foil (Malaysia) Sdn. Bhd.)において、汎用銅箔設備の転用、生産性改善、表面処理機の新設を進める。今後も需要動向を注視しながら、さらなる能力増強も検討していく方針。

■経営方針と今後の展望

三井金属は、パーパス「探索精神と多様な技術の融合で、地球を笑顔にする。」を掲げ、2030年に向けた全社ビジョン「マテリアルの知恵で“未来”に貢献する、事業創発カンパニー。」の実現を目指している。今回の増産投資もその一環として、次世代通信やAI社会を支える電子材料事業の競争力強化を図る。

<プロジェクト概要>
項目:高周波基板用電解銅箔「VSP™」の生産能力増強
投資額:約60億円
対象拠点:台湾銅箔股份有限公司/Mitsui Copper Foil (Malaysia) Sdn. Bhd.
増強内容:生産設備の追加転用・生産性改善・表面処理機新設
生産能力:620t/月(現在)→1,200t/月(2028年9月)
スケジュール:2027年9月に1,000t/月、2028年9月に1,200t/月体制
主用途:高周波基板(通信インフラ・AIサーバー等)

ニュースリリース

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