・収益性向上を継続―売上高と新規受注が2桁増加
・ポートフォリオ戦略が奏功
・新規受注12%増を達成
ドイツ(DEUTZ):2025年11月6日
同期の新規受注は前年同期比11.8%増の15億450万ユーロ、売上高は同14.9%増の15億400万ユーロとなった。これは、ポートフォリオ戦略の実施による事業領域の拡大が、従来のエンジン事業の落ち込みを十分に補った結果である。
収益面では、調整後EBITが7,550万ユーロ(前年同期:5,730万ユーロ)と好調で、調整後EBIT率は5.0%(同4.4%)に改善した。収益性向上の要因として、収益性の高い買収案件に加え、コスト削減プログラム「Future Fit」による効果が寄与している。調整後EBIT率は年初来、四半期ごとに改善を続けており、従来は季節要因で低調になりがちな第3四半期においても5.8%を記録し、前年同期(1.7%)を約4ポイント上回った。
■事業転換が加速、サービス事業と新規領域を強化
同社は2024年第3四半期に米国の発電機メーカーBlue Star Power Systemsを買収し、Rolls-Royce Power Systemsから特定のDaimler Truckエンジン事業を統合したのに続き、2025年もポートフォリオ変革を加速している。1月にはエグゾースト後処理専門のHJS Emission Technologyの株式50%を取得、4月にはオフハイウェイおよび防衛車両の電動化技術を持つオランダのUMS社を買収し、NewTech事業と防衛事業で技術的優位性を獲得した。
■米国市場でサービス網を拡充
防衛事業も拡充している。9月初めには軍用ドローンなどハイテク用途向け高出力電動駆動装置の大手メーカーSOBEKグループを買収。10月中旬にはARX Roboticsと戦略的パートナーシップを締結し、無人防衛システムの成長エコシステムにおける地位を強化している。
■コスト削減プログラムも順調に進捗
コスト削減プログラム「Future Fit」の実施も順調に進んでいる。同プログラムは2026年末までに年間5,000万ユーロのコスト恒久削減を目指すもので、特にエンジン事業における余剰人員削減などの施策を含む。2025年9月末時点で、希望退職プログラムにより約180名の従業員が退職した。
プログラムを統括するオリバー・ノイ(Oliver Neu)CFOは「成長を続けながら収益性も高めたいと考えており、この点で順調に進展している。本年度は2,500万ユーロ以上のコスト削減を達成する見込みであり、これによりDual+戦略を推進し、長期的な競争力を強化できる」と説明した。
■2025年通期見通しを修正
第3四半期までの業績を踏まえ、DEUTZ社は2025年通期見通しを以下の通り修正した。建設機械および農業機械分野で市場回復が見られないものの、売上高は21億ユーロと予想レンジ(21億〜23億ユーロ)の下限になる見込み。調整後EBIT率は、ポートフォリオ変更の効果、コスト削減プログラムの効果拡大、エネルギー事業およびサービス事業の収益貢献により、目標レンジ(5.06.0%)の中間点付近を維持する見通し。M&A前のフリーキャッシュフローは、引き続き数千万ユーロ台半ば(mid-double-digit)と予想している。
同社は第3四半期累計で、営業活動によるキャッシュフローが前年同期比2倍以上の7,640万ユーロ(前年同期:3,140万ユーロ)となり、フリーキャッシュフローはM&A前ベースで240万ユーロの流入(前年同期:2,860万ユーロの流出)を記録するなど、財務面でも改善が進んでいる。