・営業利益は買収関連費用などで大幅減、通期予想は据え置き
第3四半期までの業績動向を概観すると、全体では買収による連結範囲拡大と海外販売の拡大が売上を押し上げた。とくに、Manitex社の買収やIHI運搬機械の事業取得(現:タダノインフラソリューションズ)が海外・国内の車両搭載型クレーンや高所作業車、運搬機械の売上に寄与したため、海外売上高比率は66.6%に達した。一方で、買収に伴う取得関連費用やのれんの計上、連結範囲変更に伴う調整費用が発生し、販管費の増加とあいまって営業利益を圧迫した。四半期純利益が増加した主因は、固定資産売却益や段階取得に係る差益などの特別利益が計上されたためである 。
■ 地域別・事業別の状況
地域別・事業別の状況をみると、地域セグメントでは日本の売上高は1,423億円(前年同期比102.8%)で、建設用クレーンの減少を他製品の増加やTIS買収による運搬機械売上で補ったが、営業利益は140億円にとどまり前年同期の水準を大きく下回った(営業利益は前年同期の65.6%)。欧州はManitex買収効果などで売上高が724億円(同122.5%)に拡大したものの、引き続き54億円の営業損失を計上し、前期の約81億円の営業損失から損失幅は縮小した。米州は売上高968億円(同120.4%)と増収となり、営業利益は18億円程度に回復したが、買収関連費用の影響で利益率は抑制された。オセアニアは売上高89億円(同69.2%)と大幅減となり、その他地域も売上高は51億円(同89.8%)と減少した。
主要製品別では、建設用クレーンは売上高1,433億円(同97.2%)とほぼ横ばい、車両搭載型クレーンは281億円(同199.9%)と大幅増、高所作業車は207億円(同134.8%)と増加、運搬機械は30億円の計上となった(いずれも四捨五入表示)
■通期の連結業績予想
通期の連結業績予想については、2025年12月期通期予想を修正しておらず、売上高は3,550億円(前期比21.8%増)、営業利益は180億円(同24.3%減)、経常利益は140億円(同33.6%減)、当期純利益は150億円(同125.8%増)、1株当たり当期純利益は118.88円を見込む。会社は8月8日公表の予想を据え置いており、通期見通しの前提や実現性については外部環境や買収関連の状況による不確実性が存在するとしている 。
財政面では総資産が前期末比で増加し、2025年9月30日時点の総資産は約4,544億円、負債の増加もあり負債合計は約2,576億円となった。これは買収に伴う棚卸資産や有形固定資産、のれんの増加が主因であり、純資産は増加しているものの自己資本比率は若干低下している。会社は引き続き買収後の統合作業やコスト管理、販売体制の最適化を通じて通期目標の達成を図る方針である 。