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日立建機、南アでハイブリッドダンプ実証開始、UNIDO産業協力プログラムに採択

・燃料コストとCO₂排出を削減、日本の鉱山機械技術でグローバルサウスの発展を支援

日立建機日立インダストリアルプロダクツ(東京都千代田区)は11月5日、南アフリカの鉱山現場で実施するハイブリッドダンプトラックの実証試験事業が、国際連合工業開発機関(UNIDO)の「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択されたと発表した。

本プログラムは、日本の経済産業省の資金拠出により、グローバルサウス諸国で日本企業が実施する大型実証を支援するもので、技術革新やサプライチェーン強化、産業インフラの構築を目的としている。

■鉱山の燃料・環境負荷を大幅低減へ

鉱山現場ではディーゼル燃料が主要なコスト要因であり、燃料消費とCO₂排出削減が長年の課題となっている。特にダンプトラックによるCO₂排出は鉱山全体の半数以上を占める場合もあり、環境負荷低減が急務とされている。

こうした課題に対応するため、日立建機と日立インダストリアルプロダクツは、電気駆動式リジッドダンプトラック「EH4000AC-3」をベースに実証試験用のハイブリッド仕様車を開発。ディーゼルエンジンによる発電電力と、回生ブレーキで充電した電力を併用するACドライブシステム(日立インダストリアルプロダクツ製)を搭載し、南アフリカ・リンポポ州の鉱山現場で性能検証を行う。

実証機は既存モデルに比べ燃料消費量・CO₂排出量ともに10%以上削減できる見込みで、操業コストと環境負荷の両面で効果を発揮する。また、水素化処理植物油(HVO)を使用すれば、理論上は最大90%のCO₂削減が可能となる。さらに既存車両をハイブリッド仕様にレトロフィットできる構造とし、鉱山会社の既存資産を有効活用する仕組みも整備した。

■現地人材育成と技術移転を推進

両社は実証試験を通じて、南アフリカをはじめとするグローバルサウス諸国のサービス技術者に対し、ハイブリッドダンプの保守・メンテナンス研修を実施。現地での技術移転と人材育成にも力を入れる。

■今後のスケジュール

2025年11月から日立建機の常陸那珂臨港工場で製造を開始し、2027年7〜12月にかけて南アフリカで実証試験を行う予定。日立建機が車両の設計・製造・試験全体を担当し、日立インダストリアルプロダクツはACドライブシステムを製造する。

■両社の取り組み

日立建機は、鉱山現場のネット・ゼロ・エミッション実現に向け、フル電動ダンプトラックの共同開発や実証を進めており、安全・生産性・環境性能の両立を目指す。日立インダストリアルプロダクツは、バッテリー併用によるACドライブシステムの高度化を通じ、燃費改善とCO₂削減に貢献。さらに日立製作所のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターの一員として、デジタルサービス「産業向けHMAX」を活用し、現場の最適化と省エネ化を支援していく。

<事業概要>
• 期間:2025年11月~(製造)/2027年7~12月(南ア実証)
• 場所:南アフリカ共和国リンポポ州 鉱山現場
• 内容:ハイブリッドダンプの燃費・耐久性検証、保守・教育訓練
• 主担当:日立建機=全体設計・製造・実証/日立インダストリアルプロダクツ=ACドライブシステム製造

なお、日立建機は2027年4月に商号を「ランドクロス株式会社」、ブランドを「LANDCROS」に変更する予定。グローバルな鉱山機械ソリューション企業として、持続可能な資源開発に貢献していく構えだ。

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