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三菱重工、米ICM社とバイオエタノール膜分離脱水技術で戦略的提携

・バイオ燃料製造工程の効率化・省エネ化を加速、長崎での成果を商業展開へ

三菱重工業は11月5日、米国カンザス州のバイオエタノール製造プロセス技術大手ICM社と、膜分離脱水システムの共同開発を軸とする戦略的提携に合意したと発表した。両社は、エネルギー消費の低減とプロセス安定性の向上を図り、バイオエタノール脱水工程の効率化を通じて次世代燃料製造の高度化を目指す。

今回の提携では、三菱重工の独自技術「MMDS(Mitsubishi Membrane Dehydration System)」をICM社の製造プロセスに統合し、実用化に向けた技術検証を進める。MMDSは、従来主流のPSA(圧力スイング吸着)方式に代わり、分子ふるい膜分離方式を採用することで、省エネ性と装置のコンパクト化を実現。液相での分離が可能なため、設備設置の柔軟性にも優れる点が特徴だ。

三菱重工は、長崎カーボンニュートラルパーク内のパイロットプラントにおいてMMDSの実証を進め、国内燃料規格である99.5vol%以上のエタノール純度を達成している。今回の成果を踏まえ、ICM社の製造ラインとの連携を通じ、商業スケールでの展開を視野に入れる。

ICM社技術事業化部長のショーン・ヒューブラー氏は、「長崎での成果は非常に有望であり、三菱重工との協業により、脱水効率と信頼性のさらなる向上を期待している」とコメントした。

両社は本提携を、世界的なバイオエタノール産業の効率性・持続可能性・競争力を高める長期的なパートナーシップと位置づけている。三菱重工は、水素を必要としない植物由来燃料としてのバイオエタノールに注目し、高効率な製造技術の事業化を通じて脱炭素社会の実現に貢献する考えだ。

【参考】 
ICM社は1995年設立。米カンザス州コルウィッチに本社を置き、ブラジルにも拠点を持つ。世界110以上の施設にプロセス技術を提供し、年間約88億ガロンのエタノールと2,500万トンの蒸留穀物残渣を生産する、バイオ燃料技術分野の世界的リーダーである。

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